行き過ぎた「円安誘導」を止めよ。もはや輸出依存国ではない日本

 

米中首脳会談

米中首脳会談で、何かの合意ができるのであろうか?米国の要求レベルを下げないと、合意は無理であると思う。それなら、米国は、残りの3,000億ドル分の中国からの輸入品に関税20%UPにできるのかという問題になる。

アップルのスマホや他社のノートパソコンの部品などの関税が高くなり、消費者物価を上げてしまうことになる。インフレになる

中央銀行が金融緩和を行える環境はインフレが低いことに起因している。それを潰す方向の政策をすることになる。それと、減税した効果は、関税UPで帳消しになり、多くの米国企業が第4弾の関税に反対しているが、トランプ大統領は、行うのかということである。

もし、行えば、今度こそ、世界景気は大きな影響を受けて、それで米国の景気も下げていくことになると見る。

その米国のジレンマを見ているのが、中国であろう。中国も8月に最高幹部の秘密会である北戴河会議があり、習近平国家主席に対して、歴代の長老たちが、対米貿易問題や香港問題で攻めることは、目に見えている。特に「中国製造2025」の旗を降ろすと、大きな抵抗に会うことになる。「習近平下ろしに発展する可能性もある。

このため、中国のハイテク化推進を米国が止めようとする条件を、中国の習近平は受けることができない。人権問題を米国は出そうとしているが、それも受けることができない。

G20での米中首脳会談で中国は、米朝会談仲介の労をネタに通商問題での譲歩を少なくしたいようである。このため、6月1920日に習近平主席は北朝鮮を訪問した。

ということで、まだ、当分は米中の合意は先のように思うが、米国が大きな譲歩をすれば、部分合意ができるかもしれない。

ペンス副大統領の6月24日の中国の人権問題についての講演会が無期延期になったのも、トランプ大統領からの要請であるが、トランプ大統領も、2020年の後半の選挙期間中に劇的な米中合意にして選挙戦を有利にしたいはずで、今、無理してまで合意をする必要もないが、合意に向けた環境は整える必要がある。

しかし、バイデン民主党候補が、共和党優位州の支持率でトランプ大統領よりも上になっている。このため、中国とどこかの時点で合意する必要にもある。

しかし、この米中首脳会談が不調になると、景気を冷やすということで、FRBは、7月利下げができることになる。もし、部分的な合意になると、FRBは、7月利下げはできなくなる。どちらを市場は好むのであろうか?

ポール・チューダーは、利上げから利下げになる移行期間、株価は上がるが、利下げになった途端、株価は下がると言っている。読者の皆様は、気を付けてください。もし、7月利下げになると7月後半から下落が始まることになる。

英国の合意なきEU離脱

メイ首相辞任で、次の党首を選ぶ国会議員の議員投票で、EUからの強硬離脱派ボリス・ジョンソン前外相と穏健派ジェレミー・ハント外相の2人で保守党党員による決選投票になった。国会議員の投票ではジョンソン前外相が過半数を抑えたので、その方向の結果になる可能性がある。

もし、ジョンソン首相になると、10月にEUとの協議が不成立の場合、合意なき離脱になる。それと、ジョンソン氏は民族差別をする移民反対論者でもあり、トランプ大統領と同じタイプの人間で、民衆迎合の指導者が、世界で、もう1人増えることになる。同じタイプの指導者で、トランプ大統領は、英米経済同盟を提案している。

英国経済は米国経済との一体化で合意なきEU離脱の経済の落ち込みを米国経済と一緒になることで、取り戻せる可能性がある。英国に進出している日本企業は米国への輸出ができるために一息付けることになる。

そして、世界の陣営が中露の独裁主義国家と英米のブロック経済国家群と日本EUなどの自由貿易国家群の3つの陣営に分離することになる。日本は、英米同盟にも参加して、自由国家群とブロック経済国家群をまとめる役割をするしかない。よって、世界が複雑化することになる。

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