障がい者への訪問講義で驚く学習意欲の高さと想像を超える成長

 

この講義では、「国際社会」を学んでいる。これまで世界地図や世界の国旗を画像で示しつつ、世界の国々を眺め、学びたい国のリクエストを受けて次週の国を決めている。初回のオリエンテーション、次に世界の国々を受けてのリクエストは「中国」

その次は「韓国」、その後は「モンゴル」「フィリピン」「タイ」「インド」「サウジアラビア」「トルコ」と重ねてきた。東アジアの近隣国から、東南アジア、南アジアから中東にわたり、ヨーロッパとユーラシア大陸の懸け橋に至る、というリクエストは国と国のつながりを意識した結果ではないかと喜び、さて次は欧州に行くのかと思いきや、次のリクエストは「日本」だった。

私の勝手な思い込みではあるが、やはり日本に「戻る」のは意外。しかし、それはなぜか考え続けた。中国からトルコまで来る工程で、常にその国の「歴史的な成り立ち」「周辺国との関係」を考え、情報を提示してきたが、これまで習ってきた日本が、他国との連関の位置づけがまだ習熟するには、年齢が若かったのかもしれないと思いながら、それは「日本」ではなく「世界の中の日本」での学び直しの要望であると解釈をした。

「ここまで来たからヨーロッパでいいんだよ」と促し、その伏線として、トルコの講義ではトルコ行進曲を紹介し、いわゆる「トルコ行進曲」で有名な欧州の大作曲家、モーツアルト、ベートーベン、ハイドンも紹介し、欧州への道筋を描いてみた。しかし「日本」というかたい意思

それに少々気圧されながら、私の想像をはるかに超えた成長に喜んでいない自分に気づく。これは自分の講義ではない、当事者の、学生の、講義なんだ。そんな当たり前のことを再確認する自分を恥じらいながら、彼の目をしっかりと見つめ講義をしていこうと思う。

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特別支援教育が必要な方への学びの場である「法定外シャローム大学」や就労移行支援事業所を舞台にしながら、社会にケアの概念を広めるメディアの再定義を目指す思いで、世の中をやさしい視点で描きます。誰もが気持よくなれるやさしいジャーナリスムを模索します。

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