この「中国化」の現象はルワンダにとどまるわけがありません。同じパターンはほかのアフリカ諸国にも及んでいると考えなければなりません。中国が影響を及ぼしているアフリカ諸国は56カ国の大部分を占めるといって過言ではありません。さらに増える傾向にあります。 TICAD(アフリカ開発会議)を主宰することを持って「アフリカ戦略」としている日本が、アフリカの大地で中国と競えると考えるのは浅はかではないかと思ってしまいます。中国は2018年9月、北京で「中国・アフリカ協力フォーラム」を開きましたが、53カ国が出席し、そのうち大統領など国家元首が出席したのは36カ国に及びました。2016年のTICAD(ナイロビ)には53カ国が参加してはいますが、総合的な戦略の点で中国に差をつけられていることは間違いありません。
中国の世界戦略については、日本では中央アジアからヨーロッパに向かう「一帯一路」の成否に注目が集まりがちですが、中国はアフリカ戦略を「一帯一路」の延長線上に位置づけているのです。別の言葉でいうなら、「遠交近攻」が文字通りアフリカで静かに進められていることを見逃してはならないと思います。
*一帯一路 中国西部・中央アジア・欧州を結ぶ「シルクロード経済帯」(一帯)と、中国沿岸部・東南アジア・インド・アフリカ・中東・欧州と連なる「21世紀海上シルクロード」(一路)からなる経済・外交圏構想。2013年に習近平国家主席が提唱した。
*遠交近攻 中国の戦国時代に唱えられた外交政策で、遠い国と親しく交際を結んでおいて、近い国々を攻め取ること。かつてのイギリスの日英同盟などはロシア帝国に対抗するための遠交政策だった。このイギリスの外交政策は中国の戦略にも見ることができる。(小川和久)
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