参院選の「れいわ現象」と「N国党躍進」は何を意味するのか?

 

これは、現在の与党の問題ではなく、立憲民主党や国民民主党における与党批判という選挙手法に対して、国民が嫌気がさしているということになります。そのように考えると、「れいわ新選組現象」は、若者が少なくありません。

つまり「今後の行くべき方向を具体的に示すということがなければ、単に現状を否定するだけでは投票行動が起きない」ということが明らかになったということになります。現在の若者はそのような特性を持っていますから、その特性に関して現在の野党が全く見えていないということになるのではないでしょうか。

その意味ではれいわ新選組は、うまく具体的な内容を出していたのではないかと思います。もちろん、民主党政権の時のマニフェストのように、それが実現可能かどうかということは非常に疑わしいと思います。

例えば消費税廃止などといっても、今まですでに8%の消費税分はしっかりと歳入があったわけで、それを失った政府の財源をどうするのかということも全く見えていないということになるでしょう。そのような具体策が見えていませんが、単純にスキャンダル的な批判しかしない現在の野党よりも、はるかに「将来性があるような政党」に見えたことは確かでしょう。そのために、あまり政治を理解していない若者層や主婦層に受けが良かったということになります。

しかし、ALS患者を政治の場に送ったこと、そのうえその世話を国家にゆだねたことから、多くの国民が「れいわ新選組だけ特別扱いされている」というように感じるようになった場合は、そのブームは終わるのではないでしょうか。

国会も、国民の税金で動いています。それが1つの政党だけで様々なシステムが変わり、それが事件が起きるようになれば、当然に、国民はブームを作っても反感を持つことになります。民主党政権の時と同じように、「こんなはずではなかった」といって、国民は、ブームを作った本人でありながらも、いや自分でブームを作ったからこそ、しぼむ速度も大きくなってしまうのです。

このように「れいわ新選組現象」という政治的な動きは、1つには現在の野党のあまりにも不甲斐ない国民不在の状態がその内容の中心にあり、その上で、無党派層に「わかりやすい」選挙をしたということになります。

しかし、そのわかりやすい選挙そのものが、「公約の単純化」につながり、その攻撃が国会や公共の施設を通して、国民に向かったと感じた瞬間に、かえってその自分を支持した人々から攻撃を受ける可能性があるのです。まだまだ、両刃の剣で、今後日本新党のようになる可能性があるものの、まだそこまでの状況にはないということになるのではないでしょうか。

print
いま読まれてます

  • 参院選の「れいわ現象」と「N国党躍進」は何を意味するのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け