障がい者の就労と就労定着の支援において「繋がること」の必要性

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さまざまな福祉活動に関わるジャーナリストの引地達也さんは、障がい者の就労支援の活動の中で、課題解決の必要性を感じ、「障がい者雇用センター」というコミュニティを立ち上げました。今回のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』では、就労支援における支援事業者同士のつながりの大切さ、就労定着支援における障がい者と企業の雇用担当者、支援事業者3者のつながりの大切さについて、現状の課題とともに訴えています。

障がい者雇用センターの目指すコミュニティ

先般伝えているように「障がい者雇用センター」なる新たなコミュニティを立ち上げ、現在、障がい者の就労支援と就労定着支援に関して真剣に考え、そして行動しようとする仲間を集めている。 その第一歩として、11月27日に東京都千代田区のLEC水道橋校を会場にして、「つながるからはじめよう」を行う予定だ。対象は就労移行支援事業所をはじめとする福祉事業者の支援者、障がい者雇用をしている、またはしようとする企業の担当者、さらに企業の人事に関する役割を期待されている社労士、そして何よりも就職しようとする障がい者とその家族や関係者、さらに実際に働いている障がい者の方々である。

これらそれぞれの立場からこのコミュニティに集まり、交わることがまずは私たちの狙い。立場によって分断化してしまうことによる「障がい者雇用」での「障壁」を取り除く試みであり、この交わりが受益者であるはずの障がい者をはじめ企業にとっても確実に良い効果を生むものだと力説し、「仲間に」と呼び掛けている。

かつては主に社会福祉法人などが運営していた障がい者の支援施設は、行政の措置時代の名残を引きずり、「福祉のやり方」がフォーマット化されている箇所は今も現実に残っているが、就労移行事業所は株式会社等、民間の参入が多く、その「福祉方式」は確実に「企業方式」に行動が変化しているのは違いないのだが、極端な言い方をすれば株式会社のやり方を踏襲しすぎての新たな分断化が生まれているのも事実としてある。

例えば、自事業所の利用者を就職させようと企業に個別なアプローチを「営業」として積極的な働きかけをするのはよいが、1つの事業所の利用者は20人以内の場合が多く、そこでマッチングできなければ企業との関係は終了してしまう。これは私自身も、企業が「口を開けて待っている状態」に出会いつつ、自分の関係する事業所に該当者がいなければ、そのおいしい話は終わってしまうのである。

各社が自分の商品を売り込み、買ってもらえなかったら終わり、ではなく、広いコミュニティの中で、就労支援員自身がつながり、企業もつながり、一人でも多くの方に雇用の機会を提供する、という同じ立場で動ければ、自然とその融合は情報交換から始まり、自分が属する事業所以外の就職希望者につながるはずだ。

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