女将のいるファミレス『ばんどう太郎』に老若男女が集まる理由

mba20191017
 

たとえお値段が高くてもあの店だったら行く価値あり、とお客様に思ってもらえるのはなかなか難しいものですが、そんなハードルを軽々と超えてしまっているファミリーレストランがあります。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、地元民に愛され、親子3世代で来店する顧客を多く抱える和食ファミリーレストラン「ばんどう太郎」の戦略と戦術を分析しています。

価格が高くても来店する理由を創る

今号は、地元に愛されている和食レストランチェーンを分析します。

● 株式会社坂東太郎が展開している和食ファミリーレストラン「ばんどう太郎

戦略ショートストーリー

3世代家族の方をターゲットに「効率よりも従業員満足・顧客満足を重視する文化」に支えられた「接客が丁寧」「お祝い事ができる」等の強みで差別化しています。

子どもから、おじいちゃん、おばあちゃんまで3世代が満足するメニュー・サービスを提供することで、顧客(特に地元の茨城県民)からの支持を得ています。

■分析のポイント

「ばんどう太郎」はファミリーレストランとしては高単価の商品が多く、実際に「客単価も他社と比較すると高いようです。

  • 売上=客数×客単価

で表されるように「客単価」は店舗にとって重要な要素です。

インバウンド集客などを図り、客数を増やすことに取り組んでいる企業もありますが、人口減少のトレンドのなかで、「客数」を増やすのは容易ではありません。かと言って、「客単価」を上げようとしても、いままでの価格帯から単純に価格を上げただけでは、客離れにもつながってしまいますので、各社はメニューに付加価値をつけるべく奮闘しているわけです。

今回は、そのような中で、「ばんどう太郎」が他社よりも「客単価」が高い理由について考えてみたいと思います。

まずあげられるのが、慶事プランの存在です。「祝い鯛付お食い初め膳」は4,200円と高単価ですし、その他の慶事プランも同様に高単価メニューとなっています。「ばんどう太郎」はファミリーレストランでありながら、お祝い事ができることを強みにしているからこそ、客単価アップにつながっていると言えます。

そして、3世代で来店できることも「客単価アップ」につながります。おじいちゃん、おばあちゃんは、孫と過ごす団らんの場にお金を惜しまないでしょうし、食事にこだわるシニアの方は、多いですからね。

3世代が満足できる料理を提供することはもちろん、お座敷には、子供向けと高齢の方向けの椅子が用意するなど3世代が安心して来店できる環境を整えることが「客単価アップ」につながる打ち手になっているということです。ちなみに、3世代で来店いただけると「客数アップ」にも貢献しますね。

また、店舗に女将さんがいること真心を大切にしたサービスを受けられることも「客単価アップ」のポイントになります。丁寧な接客により顧客の満足度も高まるでしょうし、このことが他社よりも高くても支払う価値があると顧客が思うことにつながるためです。

上記のように「客単価」が高い理由を考えてみましたがこれらの理由は顧客にとって、価格が高くても来店する理由でもあるわけです。つまり、慶事プランや3世代での来店しやすさ丁寧な接客が他社との差別化につながっているということです。

茨城県民御用達の「ばんどう太郎」が今後どのような存在のなっていくのか注目していきたいです。 

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