いくら「政治的な意図はない」とユニクロ側が説明しても、つい先日、会長の政治的な発言が話題になったのですから、政治的に利用されてしまったのだと思います。
冒頭のニュースのように、韓国中小ベンチャー企業長官が出てきて「非常に腹立たしい」と述べ、「文化体育観光部や放送通信委員会など関連部処と相談する」と言い、この問題はすでに政治化してしまいました。
また、韓国に帰化し、竹島について「韓国領」だと主張して韓国政府から賞を贈られた保坂祐二世宗大政治学教授も「ユニクロ側が本当に謝罪しなければいけない」と言いはじめ、この韓国世論の言いがかりに対して「完全降伏せよ」と迫っています。
柳井氏の「日本=悪、韓国=善」であるかのような発言が、かえって韓国人の猜疑心と相手を屈服させなくてはならないという自尊心、歴史的な潜在意識を刺激してしまったのではないでしょうか。
ユニクロは2012年、尖閣諸島をめぐって中国本土で反日暴動が起きたときにも、中国国内の店舗に「支持釣魚島是中国固有領土(釣魚島<尖閣諸島の中国名>は中国の固有の領土であることを支持します)」という張り紙を出したことで、日本国内で「売国行為」として批判を受けました。
インターネット上では、「UNIQLO」という同社のロゴが「QNIULO」(国売ろ)とコラージュされるということまで起こりました。
そもそも、中央日報が報じた「日本人の劣化によって韓国が反日になった」という柳井氏の発言が本当なら、韓国は日韓併合後、「朝鮮半島はずっと反日抗日を続け、その末に韓国は独立した」と言い、3・1運動後に上海へ亡命した大韓民国臨時政府が韓国の前身だと主張しているわけですから、100年間、日本は劣化し続けているということになります。
そして、その「日本人の劣化」が韓国人の反日の原因だと主張して数日もたたずに、柳井氏の企業のCMが韓国で猛反発を受けてしまったということは、柳井氏の主張が正しければ、「ああいう企業だから韓国が反日になるのもわかる」「劣化していたのは自分たちのほうだった」ということになるのでしょうか。なんとも皮肉な、自縄自縛のブーメランを受けてしまったと言えるわけです。
日本の嫌韓感情が近年急速に高まり、それが「右傾化」などと言われますが、約束を破り、ウソをついてまで恫喝してくる相手へ反論することを、日本では「右傾化」と呼ぶのでしょうか。そうであるならば、ウソと恫喝を繰り返す中国に反発する香港も台湾もウイグルも「右傾化している」と非難されるべきことになります。
中国・韓国と本気で付き合うならば、むしろ表面的な善隣外交は百害あって一利なしだということを肝に銘じるべきです。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年10月23日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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