死角はあるか?コスパ最強の洋菓子店シャトレーゼ快進撃の秘密

2019.11.05
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シャトレーゼ外観シャトレーゼ外観
 

苦戦を強いられているスイーツ取扱企業の中にあって、「低価格で高品質」を武器に好調を維持し続けているシャトレーゼ。9月にはついに銀座に出店を果たすなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いと言っても過言ではありませんが、何が同社の快進撃を支えているのでしょうか。フリー・エディター&ライターでビジネス分野のジャーナリストとして活躍中の長浜淳之介さんが分析・検証します。

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)、『バカ売れ法則大全』(SBクリエイティブ、行列研究所名儀)など。

スイーツショップ受難の時代を跳ね返す、シャトレーゼのビジネスモデル

1本60円(税別)のアイスバー「チョコバッキー」をはじめ、高品質のスイーツを信じがたいほどの安さで提供するチェーンが、「シャトレーゼ」である。

一番人気のチョコバッキー(バニラ)

一番人気のチョコバッキー(バニラ)

全国の郊外に駐車場が付いた欧風のおしゃれな店舗を構え、約500店を展開。シャトレーゼではお菓子づくりに水が重要と考え、山梨県白州の名水にこだわる。名水の効果もあって、値段から想像される味を、良い意味で裏切り続ける商品のクオリティの高さを保っている。そのため毎日のようにSNSの投稿で話題になるほどで、熱烈なファンを多数獲得している。

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シャトレーゼ外観

そうした顧客からの高評価もあり、シャトレーゼは好調な業績を続けていて、成長性が高い。海外を含めた店舗数は、3月期の決算推移を見ると、2015年の461店から19年は578店へと、過去4年で100店を上回る増加となっている。

また、持株会社シャトレーゼホールディングス(本社・山梨県甲府市)の連結売上高も、15年の540億400万円から、19年は662億3,400万円へと2割以上伸びている

近年のスイーツ店は、個人経営の店や不二家、銀座コージーコーナーなどの老舗チェーンが不振と言われ、コンビニなどに顧客を取られているとされるが、シャトレーゼには無縁の快進撃ぶりである。

今年9月には、都心型の新ブランド「Yatsudokiヤツドキ)」1号店を銀座にオープンし、郊外ばかりでなく東京をはじめとする都市部への侵攻を開始した。シャトレーゼのスイーツショップ受難の時代を跳ね返す、ビジネスモデルを追った。

ヤツドキ外観

ヤツドキ外観

シャトレーゼが低価格で高品質の商品を販売できる大きな理由は、農場、工場、店舗が一体となった「ファームファクトリー」という独自のビジネスモデルにある。

中間に商社や問屋を通さないから、その分の費用が発生せず、市場の商品よりも安く売ることができるのである。

要は契約農場から素材を直接仕入れ、自社工場でお菓子をつくる。お菓子は全国の直売店に、専用便で配送している。生産から物流販売までコントロールする、ファームファクトリーのシステムこそが「おいしいものを、お値打ちで」という同社の理念を支えている。

これは、アパレルになぞらえれば、ユニクロ、ギャップ、ワークマンなどと同様な製販が垂直統合された、製造小売業のスイーツ版だ。

しかし、シャトレーゼは当初から製造小売業を目指していたわけではなく、当初は量販店、つまりスーパーマーケットに商品を卸して売っていた

ところが1984年に本社工場が竣工して、これから本格稼働という時に、従来からあった主力工場が火事で焼失してしまった。懸命に建て直しをはかっている間に、他のメーカーの商品が代わりにスーパーの棚を埋めてしまった。

そこでやむなく85年、甲府市内に工場直売店を出店するのだが見事にピンチをチャンスに変えた。けがの功名と言えよう。値段は卸売価格そのままとしたので、市場よりも2割~3割安く売った。だから人気が爆発した。

実際に工場直売店をオープンしてみると、顧客からの反響がストレートに売上に跳ね返ってくる面白さがあることがわかってきた。スーパーに販売していると、顧客よりもスーパーの意向で商品を出していかなければならず、顧客本位の商売をしているとまでは言い切れないもどかしさがあった。

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