ストイックに自分自身の体と向き合うボディビルダー。その鍛え上げた肉体美を競う世界のコンテストで日本人として初めて世界一、「ミスターユニバース」の称号を得た杉田茂さんは、道具を乱暴に扱うことをとても嫌ったそうです。メルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』の桑原弘樹塾長がダンベルの扱いで叱られたエピソードを紹介。自身の体験と重ね合わせ、成功するための秘訣を伝えます。
成功の鍵は大切にすること?
動物を飼うとよくわかるのですが、可愛がれば可愛がるほどなついてくれます。この場合の可愛がるというのは、単に甘やかすというよりも大切にするという意味合いが強いかもしれません。
私は子供の頃から犬や猫を常に飼っている環境にいて動物との接点が多かったのですが、大切にすればするほど飼い主の事も大切にしてくれます。
驚いたのは、以前、両親が大切に飼っていた亀が、やがて両親になつくようになって、最後には後を追うようにまでなっていました。花も水をやるときに愛情をもって話しかけると、その色や咲いている期間が変わるという話を聞きました。
お金を貯めたければ、お金を大切にしなさいと言われます。これも単に消費を抑えなさいという意味ではなく、使い方を考えなさいという意味でしょう。お金自身が使われて喜ぶような消費の仕方をしなさいという意味だと思います。お金を使う人の方が、お金が貯まる印象すらありますから。
ミスターユニバースの杉田会長のジムでは、ダンベルを乱暴に扱うような事があるとこっぴどく叱られました。高重量のダンベルは手で運ぶのも大変なので足で転がしたりするものですが、それすら許してもらえませんでした。
最初は厳しい人だなというだけの印象でしたが、会長のある言葉を聞いて心から納得したのです。「ダンベルはおまえの筋肉を大きくしてれる大切な道具じゃないのか」そうなのです!ダンベルはただの鉄の塊ではないのです。
それが無ければ十分なトレーニングが出来ず、しっかりと筋肉に刺激を与えることができないのです。豪放磊落な性格の杉田会長なので、ともすればダンベルの扱いなどは雑なイメージすらあったのですが、実に扱いは繊細で丁寧なのです。
当時、ロニーコールマンなどのビデオでバーベルやダンベルを最後は投げ落とすようなシーンがあって、それを真似するようなビルダーが現れれば即座に雷が落ちていました。やはり道具を大切にしない人は一流にはなれないのでしょう。
そして、その考え方を突き詰めていけば、自分自身をどれだけ大切にできるか。これこそが目指すべき姿なのかもしれないと思うのです。もう少し正確にいうならば、自分というブランドをどれだけ大切に扱えるか。きっと小さな行動ひとつひとつが変わっていく気がします。
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