NY在住日本人社長が出張帰国で驚いたコンビニ惣菜のクオリティ

 

翌日は出版社との最終打ち合わせ。これで「手離れ」になります。長かった(涙)。本当に、1冊目は長い時間、拘束されました。本を1冊仕上げるのに、これほど、時間と精神をすり減らすとは思っていませんでした。当初、出版予定だった出版社とも袂を分かちました。どうしても、最後の最後で、担当さんと相容れることができませんでした。そういった意味ではそこにもご迷惑をかけました。

有名作家でもないくせに、まったく無名のどこの馬の骨かもわからないやつに、出版オファーを頂いただけで、ありがたい話。何も意見せずに、プロの言う通りにすればよかったのかもしれません。特に、相手は、商業出版の専門家。彼女も実績がある非常に優秀な編集さん。売るためには、彼女の言うことを素直に聞いた方が得策だったとも思います。でも、肝心の最も言いたい部分を変えられた。仮にそれで売れたとしても、おそらくはそう嬉しくなかったはず。将来、息子(現4歳)に読ませた際、納得できなかったはず。

この2年間のうち、最初の1年半は、その編集担当の彼女の言うことを「プロがそう言うのだから、間違いない」と自分に無理やり、言い聞かせる日々でした。でも、何かが違うと当の自分が思っている。結果、かなり揉めましたが、最後は謝罪をしました。「たとえ、売れたとしても、たとえ、僕が間違ってるとしても、そのテイストで著書を出したくない」と。それが正解だったのか、間違いだったのかは、今はわかりません。でも、後悔はない。ありがたいことに、決裂した後、出版自体を諦めかけた時に、今回の出版社ブックマンさんが英断してくださいました。

担当のKさんは「このままのテイストで行きましょう!」と言ってくれた。なにより打ち合わせが楽しい。もちろん、楽しいだけではなく、彼女が校正してくれた原稿は素人が見てもかなりクオリティーアップしました。やはり、出版に関しては、出版社の色と、担当との相性が色濃く出てしまうもの。出会いこそがプロジェクトの大きな本質、と改めて実感したのでした。

そして、もうひとつ。ブックマン社を選んだのは、というよりKさんを選んだのは、原稿の中の一節に「この表現、見たことない、これで行きましょう!」と言ってくれたこと。前述の出版社の担当さんは「こんな表現、普通しないです、やめましょう!」だった。「前例がないことだから、GO」なのか「前例がないことなだから、STOP」なのか、この選択の違いは、僕の選択を決めるほど、大きな違いでした。

その担当が、「出版記念のトークショー、なにを話すか考えててください」というので、「おっけー」と言うものの、いつもまったく白紙で臨みます。失礼に当たらないのは、その方が、その場の空気も踏まえて、用意された言葉じゃない、リアルな言葉で話せるからです。もちろん、後付けのいいわけだけど。僕の表情を見て、以前、セミナーに参加してくださった彼女は「なんにも考えてないでしょ」と指摘します。「せめて、どんな気持ちで執筆したか、何を伝えたかったか、ぐらいは用意しておいてください」と。帰りの飛行機、ふと考えます。「何を伝えたかったのか」ー。今回の書籍で僕がいちばん話したかったことは何だったのだろうー。

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