池田教授が指摘「人為的温暖化説」のバラマキに見る科学の政治化

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前回の記事で、エビデンスの乏しい科学情報を真実のようにセンセーショナルに報じる弊害について警鐘を鳴らした、CX系「ホンマでっか!?TV」でもおなじみ池田教授。今回は自身のメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』で、科学者や国が自然災害の因果関係を深く検証しないまま「人為的」と位置づける現象について、「一部の人の利益のため」との見方を交えて、鋭く解説しています。

人為的温暖化とは無縁な台風の被害

前回、温暖化のせいで台風の発生回数が増えたり、勢力が強くなったりしたのはウソだという話をしたのだけれども、人為的温暖化真理教に侵されている人々は度し難くて、未だに、世界中の科学者の多数派は人為的温暖化説に与しているのだから、専門家ではない池田清彦が異議を唱えても信じないと言っている人がいる。しかし、当然のことだけれども、科学は宗教ではないので信じる信じないの問題ではないのだ。

データは沢山公表されているので、自分で調べれば、すぐに気候変動の主たる原因は人為とは無関係で、人類が排出するCO2のコントリビューションはあってもごくわずかだということが分かるはずだ。

自分で調べようとしないで、マジョリティの尻馬に乗って、マイノリティをバッシングするだけが生きがいの人って、どんなに貧しい知的人生を送ってきたのかと思うと「可哀そうで涙が出るわ」と言えば、烈火のごとく怒るのだろうね。しかし、「知を愛する」という人生最大の楽しみを放棄して、イキがっている人はやっぱり可哀そうだわ。

科学的妥当性は政治と違って多数決では決まらないので、専門家の多くが支持している仮説が正しいとは限らないのは言うまでもない。しかし、不幸なことに気候変動を予測する研究は科学というよりも、ほとんど政治になってしまった。

気候変動の予測はコンピュータのシミュレーションで行うため、パラメータを少し変えるだけで、予測値は大幅に変わってしまう。裏を返せば、自分にとって好ましい予測にするためにパラメータを適当に変えることができるということだ。

何であれ、新しい技術を開発して金もうけの道具にしたい企業にとって、CO2削減のための様々な装置を設置することを国が義務付けたり、奨励したりすれば、新しい市場が芽生えて儲けることができる。

エコカー、ソーラーパネル、風力発電などを開発して、金儲けに結び付けたい企業にとって、人為的温暖化説は願ってもない追い風なのだ。政府としても炭素税を取って税収を増やす根拠(言い訳)にすることができる。したがって、こういった企業と政府の双方にとって、人為的温暖化を擁護することは政治的・社会的に正しい(Political correct)という世論を形成させることは不可欠となる。逆に言えば、反対する奴は人類の未来の幸福を考えない人非人だという風潮にしたいということだ。

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