人類史上「破格の天才」2人、モーツァルトとラマヌジャンの共通点

 

以下、2人を簡単に紹介しておく。

  • モーツァルト(ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト)
      生没年 1756-1791
      出身  オーストリア、ザルツブルク
      職業  音楽家(作曲家、演奏家)
  • ラマヌジャン(シュリニヴァーサ・ラマヌジャン)
      生没年 1887-1920
      出身  南インド
      職業  数学者

この2人の天才の業績を、大凡人たる自分があれこれ論じるのは越権行為も甚だしいので、今回は別の切り口から話を進めてみようと思う。時間も場所も分野も異なるこの2人の共通点を考えてみたいのだ。

まず第1に、何と言っても薄命であることである。享年モーツァルト35歳、ラマヌジャン33歳である。

第2には、名伯楽の存在である。モーツァルトには父レオポルトがいたし、ラマヌジャンにはケンブリッジのG.H.ハーディがいた。

第3は、仕事の美しさである。勿論、モーツァルトの音楽が美しいのは当たり前のことだが、ここでは視覚的な美しさを取り上げたいのである。音楽である以上、その伝達方法は楽譜である。モーツァルトはその直筆の楽譜が残っているから分かるのだが、実に美しいのである。そもそも訂正箇所がほとんどない(というより事実上全くない)。

音符が右上に踊り上がるような感じで、その筆の勢いがよく伝わる。湧き上がる曲想に書く手が追い付かないような印象さえある。

一方、ラマヌジャンは数学者だからその仕事は数式として残っている。これが、素人が見ても美しいのである。美しいが故に難解であり、その解読、証明事業は大きな山場を越えはしたものの今猶続いている。彼が特異点的な存在である証拠である。

それにしても第1・第2の共通点を見るに、彼ら2人の不幸と幸福を感じざるを得ない。如何な名馬も名伯楽なくして世に出ることはない。その意においては何という幸福か。しかし、このあまりの短命は何という不幸か。

彼らの享年を遙かに超えた今、モーツァルトとラマヌジャン、2人の天才への尊敬の念は益々強くなっているように思える。

image by: creofire.com (archived from the original) [Public domain], via Wikimedia Commons, Shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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