スタッフが真面目に働いているにもかかわらず、なぜか成果が上がらない…、そんな現場が存在するのも事実。何が悪いのか、自分たちでは原因が見出せないような時、意外なほど効くのが外側からの客観的な視点です。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では飲食店コンサルタントの中西敏弘さんが、社長が現場に足を運ぶことの意義を、著者ご自身の経験も踏まえて解説しています。
事件は会議室で起きているのではない!現場で起こっている!
昔、あるご支援先で、客単価がどんどん落ち来ていたお店がありました。当初は、3,800円ぐらい取れていたのに、気が付けば、3,000円を切る事態に。
ミーティングで、「なぜ、客単価がこんなに落ちたのだろう?」と皆で喧々諤々と議論をしていたのですが、それまで足が遠のいていたお店に行くと原因がすぐに分かりました。
客単価が落ちた原因は、「客層が変化」していたからでした。当初は30代後半ぐらいの方が中心だったこのお店ですが、見に行くと気が付けば、20代前半から中盤の若年層中心に変化していたのです。
その光景を見て、すぐに原因が分かりました。原因は、当時、流行っていた「無料クーポン券」をずっと配布していたからです。このクーポン券を利用する人は、若い人が中心で、行ったことがないお店にクーポンを利用して行く。そして、最低金額ぐらいの注文で帰ってしまう、ということが、そのお店で起こっていたのです。
この日以来、店、現場に行くことの大切さをすごく痛感したのを今でも鮮明に覚えています。
僕はコンサルティング契約をしていただいているご支援先では、基本的に「現場に行く」ことを絶対にしています。なぜなら、上記のような経験をしたということもありますが、やはり、問題はすべて「現場にある」と考えているからです。
僕の仕事は基本的には、会議室で理念を作ったり、戦略を考えたり、数字を分析したり、仕組みを作ったりすることがメインになります。でも、「現場」を踏まえて数字の分析をしたり、仕組みを作るのであり、また、毎月の営業計画も「現場の今」を踏まえて、決定するものです。だから、「現場」を自分の目で見ないとやはり本当のことは分からないので、「現場」になるべく行くようにしているのです。
しかしながら、社長さんで、自分のお店に行くことをすごく嫌がる人がいます。常連さんに会って、色々と話しかけられたりしたりなど、店にいると色々な声が聞こえるのが嫌なのかよくわかりませんが、「お客様としてお店に行く」ことをとにかく嫌がる人が多いなあって感じています。
でも、今までの経験上、そんな社長さんの会社ほど、売上があまり良くない、停滞していることが多いなあと思います。
特に、規模が小さい時ほど、現場で起こっていることをトップ自らが感じ、小さな問題を発見し、すぐに改善していく、ということを繰り返していかないと会社は成長していかないと僕は考えています。なぜなら、現場スタッフには、また、社長以外のスタッフではまだまだ「現場のお客様の課題・問題点」を発見、把握することが難しいからです。
だから、社長が現場に行かない店、会社は、「現場の問題」を現場が気づかず、放置していることが多いので、それが売上が上がらない、停滞してしまったいる原因だと最近つくづく感じるようになりました。
「事件は会議室で起こっているのではない!現場で起こっているんだ!」ではありませんが、ぜひ、定期的に店を観ることをお勧めします。
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