ちなみに私は、関西学院大学のビジネススクールで教えています。MBAのための大学院ですが、全ての講義を英語でやっているため、留学生が大半です。なかでも最近多いのは、中国からの留学生で、彼らが普段使っているアプリが、WeChatやWeiboなのですが、これらはもうすでにワンストップで、SNS、バンキング、電子マネーやショッピングなど全てできる、というアプリです。
便利なのでユーザーとして離れられないのですよね。この辺を、ヤフーとLINEの統合による、スーパーアプリ化で目指しているのではないかと思われます。
ヤフーもLINEも単体で巨大企業ですが、ここを目指す上で、GAFAやマイクロソフトなどの、米国企業や中国の巨大企業との競争に、単独では勝てないため統合し、お互いの相乗効果を出していこう、と考えたのでしょう。
さらに、このスーパーアプリで、これから海外にも進出していくとしたら、タイやインドネシアなど、アジアの国で知名度がある、LINEのブランド名を活用していくこともできます。
これからさらに成長していくためには、今のままでは限界があるとの判断ですが、ヤフーにしてもLINEにしても、すでに巨大な企業でありながら統合して、より一層の上を目指そうという姿勢は、見習うべき点です。
もちろん、経営統合をしていくということになると、これから先には、どうやって業績を伸ばしていくのか、新しいサービスを生み出すことはできるのかなど、多くの課題があることは事実でしょう。このように、企業として現状に満足せずに、常に次のステージを目指す姿勢は大いに見習いたいところです。
企業の大小に関わらず、自社を取り巻く環境は、つねに大きく変わるし、それに対してライバルも頑張ります。その中で現状維持は敗北なのです。今、順調であっても将来に備えるべきですよね。
ヤフーとLINEは、自社に足りないところは何か?を突き詰め、その点をしっかりと把握したので統合の案が出たのでしょう。このように、自社の商品ラインアップを常に見直して、顧客に対し「もっとできることはないか?」と、考え抜くことが大事です。
この点は、企業の大小関係なく、見習うことができるポイントですよね。ぜひいちど、自社の商品やサービスを見直してみてください。
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