では、体の動きと話の意味をリンクさせるとは、どういうことでしょうか。それは、手話にも近いボディーランゲージなのですが、手話のように四六時中、通訳をするためのものではなく、言葉で言うと、頭(頭脳)や心、手足、目鼻口…などの体の部分、形容詞や形容動詞などの修飾語や、比喩、ものごとの状態を表すような擬音擬態語を動作で表現してみる、ということです。
「目はギラギラと眼光鋭く、頭脳明晰で、まるで日本刀のように、ズバッと、切れ味が素晴らしい…」例えば、こんな感じですね。目のギラギラ感や、日本刀をズバッと抜くような動作が、イメージ出来たのではないでしょうか。
これが、動作ありきの話し方なのか、こういう話し方だから、動作が伴ってくるのかは、話し手の気性にもよると思いますが、私たちの話の中には、このような、動作で表現しうるケースが、そこかしこに存在しています。それを実際に、見せる話にできるか、ということですね。
また冒頭のCEOの会見の話に戻って恐縮なのですが、台本がきっちり用意されて、プロンプターも準備され、聴衆に向かって話す体勢は整っているのに、実際の話し手の動作が、手をプルプル動かすだけになってしまうのは、多分に、台本に問題があるのだと思います。
つまり、台本の文章の語順や言葉の選び方などの表現が、動作を見せることに対応できていないんですね。これは実にもったいないことです。
見せながら話すことが大前提の、例えば新作発表のプレゼンなどで、CEOがステージで、ぽつねん…としてしまう、よくありがちな現象の原因は、こんなところにあったりするわけです。
こういうところがうまい会社、こういう動作が上手なビジネスマンは、とても魅力的だと思うんですがね…
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