なぜ1本数万円もする「ほうき」は、掃除の時間を楽しくするのか

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長続きする吸引力や自動化など、掃除機の性能が進化を続けるこのご時世にあって、「高級掃除機よりも高価」な箒(ほうき)が人気を集めているのをご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、高倉工芸がリリースする「南部箒」に焦点を当て、その戦略・戦術を分析しています。

便利さを上回る価値

今号は、人気の箒(ほうき)を分析します。

● 「高倉工芸(南部箒の製造・販売)」

戦略ショートストーリー

良いものを長く使いたい方をターゲットに「ほうき作りの技術とほうきへのこだわり」に支えられた「長年使用できる」「小さなゴミも逃さない」等の強みで差別化しています。

展示販売にこだわり、商品の魅力などを丁寧に伝えるだけでなく、実際に触って体感してもらうことで、価格に見合った価値あるものであることをユーザーに納得させています。

■分析のポイント

高倉工芸が製造・販売している箒(ほうき)の価格帯は数万円から十万円を超えるものもあり、市販の掃除機よりも高価格帯です。dyson(ダイソン)の掃除機よりも価格が高い箒(ほうき)とは驚かされます。現代において、メインで使われている掃除道具といえば掃除機ですから、その主役である掃除機よりも高いほうきがなぜ売れるのかということについて考えてみたいと思います。

南部箒(ほうき)の購入者にとって掃除機よりも価値がある、掃除機とは異なる価値があると思うからこそ、掃除機よりも高い価格を払って購入しているはずです。

まずは、掃除機の弱点にフォーカスをあててみましょう。家電製品ですから、電気がないと動きませんし、排気も音も出ます。そして、平均寿命は、6年から8年と言われています。多くのメーカーから多様な掃除機がリリースされていますが、電気を使う以上、これらの弱点を克服することは難しいでしょう。

南部箒(ほうき)はどうかというと、もちろん電気は使いませんし、排気も音も出ませんし、使い方によっては20年も持つものがあるようです。これらは、エコや健康を大切にしているユーザーにとっては大きな価値となります。

しかし、掃除機は、家事を助ける便利な道具だからこそ世の中にこれだけ普及してきたわけです。いくらエコだからと言って多くのユーザーが掃除機の便利さを手放すとは考えにくいです。

では、便利さを上回る価値とは何なのか、それは、掃き心地がよいことだと考えます。掃き心地の良さを感じられるということは掃除の楽しさにもつながります。掃除機での掃除が苦痛な方もいらっしゃると思いますので、掃除が楽しい時間、心が安らぐ時間になったら素晴らしいことだと思います。もちろん、最高峰のほうきである南部箒(ほうき)だからこそ感じられる価値だとは思いますが、ユーザーの心に良い影響を与えられる商品はなかなか無いと思います。

そして、掃除機を使っている子どもはあまり見ませんが(子どもが使うように作られていないので当たり前ですね)、箒(ほうき)であれば、子どもでも使えます。家族でシェアできるとより一層、掃除の時間が楽しくなるかもしれません。

もちろん、じゅうたんや畳に入り込んだゴミを取り除くことができることも南部箒(ほうき)の魅力です。ゴミが取れなければ、逆にストレスになりますからね。

今後、南部箒(ほうき)が、どのような存在になっていくのか注目していきたいです。

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