元国税が暴露、国民に節税させない国税庁「誤誘導」の汚い手口

 

修繕費用は雑損控除に含まれないような文面

災害関連費の説明としてもっとも大事なものは、この修繕費のはずです。災害で被害があった人は、そこが一番重要な情報なはずです。この重要な情報を、わざとはずして記載し、それが不可能のような印象を与えているのです。

この国税庁のサイトは、わざと一番該当する人が多い事項をはずしているとしか思えません。つまりは、わざと適用条件が狭いように思わせて、雑損控除を受けさせないようにしているわけです。意図的に読者に誤解させて、節税の方法を閉ざしているのです。完全に確信犯といえるでしょう。

もしこれが民間企業だったら、「説明文に意図的な誤誘導がある」として行政指導を受けるレベルです。雑損控除というのは、災害を受けて困っている人にせめて少しでも税負担を軽くしてあげましょうという制度です。これをわざと受けにくくするなどということは「どこまで心根が腐った役所か!」という話です。

東日本大震災や近年の地震、台風の被害者の方なども、家が少し壊れて修繕したような人が、もし国税庁のホームページを読んだとき、「自分は家を取り壊したりしていないので、該当しないんだ」と必ず思ってしまったはずです。国税庁は、全体的にこういう傾向があります。市民が税金に疎いのをいいことに、わざと大事な事を書かなかったり、誤解されるような表現をして、節税をさせないのです。

本当の雑損控除の条件とは?

ついでですので、雑損控除の条件等についてここで確認しておきますね。この雑損控除の範囲は意外と広いのです。前述したように、大雨や台風、大雪などで、家の一部などが壊れてそれを修繕したような場合も対象になります。台風に備えて、土嚢やスコップなどを購入した場合、その購入費も対象になります。家に浸水などしていなくても、「塀が壊れた」「ガレージが水浸しになった」「水道が壊れた」「車が壊れたなどでその修復に費用がかかったような場合は、対象になります。

また修繕をしていなくても、実際に被害にあって、損害を受けていれば控除の対象になります。自然災害などの修繕費用は、災害の日から1年以内に修繕したものでなければなりません(災害の状況などでやむを得ない事情があれば3年以内までOK)。

雑損控除の場合、損失額が大きくて、その年の所得金額から控除しきれない場合には、申告を要件に翌年以後3年間の繰越控除が認められています。だから、台風、地震などの災害にあった場合、その年だけでなく、3年分の税金が安くなるのです。

あと、盗難にあった場合も対象になります。これは家に泥棒が入ったときだけじゃなく、スリや置き引きなどで、被害を受けた人も対象になります。また「雪下ろしの費用」「しろあり駆除」「すずめばち駆除」も対象となります。「雪下ろし費用」は、「自然災害の費用」とみなされるのです。雪かきのために、購入したスコップなども対象になります。そして、しろあり、すずめばちなどの害虫も、自然災害とみなされます。クマが出る地域で、クマ対策にお金がかかれば、それも当然、対象となります。

この雑損控除を受ける場合は、盗難などの場合は、警察からもらう「被害証明書」、自然災害の場合は、修繕費などの領収書が必要となります。都道府県によっては、警察の被害証明書を出してくれないところもありますが、その際には、受理番号などを教えてくれますので、それを控えておいてください。

ただし、この雑損控除は、サラリーマンの方は会社に言ってもダメで、自分で申告しなければなりません。が、被害状況等の資料を持っていけば、税務署で簡単に申告できます。税務署に行く前に、必要な資料などを問い合わせておきましょう。また計算方法などに不明な点がある場合、税務署で自分の被害状況など話して計算してもらいましょう。税務署もさすがに、被害にあった人が申告をしようとする段階では、嘘はつきませんので。ここで嘘をつけば、もう完全に犯罪ですから。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)

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