中国に勘づかれず日本が「軍事的自立」を成功させる唯一の方法

kitano20200122
 

今月、改定から60年を迎えた日米安保条約。両国首脳は相次いでその意義を強調する声明を発表しましたが、同条約については日本国内に未だ「悪の元凶」と考える方もいるようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、改めて「日米安保条約は我が国の国益にかなっているのか」を検証するとともに、今後の条約のあり方について考察しています。

日米同盟は【不動の柱】(安倍総理談)か?

日米安保改定から、60年が過ぎたそうです。それで、安倍総理が19日、こんな話をされました。NHK NEWS WEB 2020年1月19日から。

19日で改定から60年となることにあわせ、政府は、東京都内で記念行事を開き、岸元総理大臣の孫でもある安倍総理大臣は、「いまや、日米安保条約は世界の平和を守り、繁栄を保証する不動の柱だ」と強調しました。

「日米安保条約は世界の平和を守り、繁栄を保証する不動の柱」だそうです。「世界の平和を守り」とは、大げさな感じもしますが。

そのうえで、「これからは宇宙、サイバースペースの安全、平和を守る柱として、同盟を充実させる責任がある。100年先まで、日米同盟を堅ろうに守り、強くしていこう」と述べました。
(同上)

「100年先まで、日米同盟を堅ろうに守り、強くしていこう」だそうです。ちなみにトランプさんも、この出来事について言及しています。

アメリカのトランプ大統領は18日、声明を発表しました。この中でトランプ大統領は、「過去60年にわたり、両国の強固な同盟関係はアメリカ、日本、インド太平洋地域、そして世界の平和、安全、繁栄に不可欠なものだった」と同盟の意義を強調しています。
(NHK NEWS WEB 2020年1月19日)

いい機会ですので、日米安保について考えてみましょう。

日米同盟は、日本のためになっているのか?

日本には、「日米安保が悪の元凶」と考えている人たちが少なからずいます。たとえば、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』は、ベストセラー、ロングセラーです。世の中の実状を知りたければ、読んでおいて損はないでしょう。

日本は、確かにアメリカの属国。これは、事実でしょう。しかし、「日米安保は悪の元凶」論者が触れない事実もあります。それは、「中国の脅威」です。彼らは、中国が「尖閣は我が国固有の領土であり、核心的利益だ!」と宣言していることに触れません。そればかりか、中国は、「日本に沖縄の領有権はない!」とも宣言している。全国民必読証拠はこちら。

反日統一共同戦線を呼びかける中国

尖閣、沖縄を狙う中国が攻めてきたら、米軍なしでどうやって日本を守るつもりなのでしょうか?まさか、「憲法9条があれば攻めてきませんよ」などと、幼児のようなことをいうのではないでしょうね…。チベット人は、日本以上の平和主義者ですが、中国は遠慮なく攻め込み、120万人を大虐殺しました。憲法9条教徒は、この事実をどう説明するのでしょうか?

こういうと、今度は、「いやいやアメリカは、尖閣有事の際、日本を守りませんよ」などと断言する人もいます。なぜわかるのでしょうか?ちなみに、アメリカは、新世紀に入ってから2回日本を救っています。皆さん意識していないと思いますが、日本はここ10年で2回「戦争一歩手前」までいったことがある。1度目は、2010年の尖閣中国漁船衝突事件の時。中国は逆切れし、レアアース禁輸など過酷な制裁を日本に科し、世界を驚かせました。そして、中国政府高官たちは、「尖閣は中国固有の領土であり、核心的利益だ!」と宣言した。この国は、尖閣に侵攻する勢いを見せていました。ところが、

  • スタインバーグ国務副長官
  • クリントン国務長官
  • ゲーツ国防長官
  • マレン統合参謀本部議長
  • オバマ大統領

が相次いで、日本を支持する声明を出したので、中国は引っ込んだのです。特に、米政府高官たちが、「尖閣は、日米安保の適用範囲」といってくれたことが大きかった。中国は、「尖閣を侵略したら米軍がでてくるぞ!」とビビッて止めたのです。

もう1回は、2012年9月の尖閣国有化の時です。この時、人民解放軍はスタンバっていました。時事通信、2012年9月11日付を見てみましょう。

中国軍、報復措置を示唆=尖閣国有化、対日強硬論台頭か

時事通信9月11日(火)17時16分配信

 

【北京時事】中国国防省の耿雁生報道官は11日、日本政府による沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化決定を受けて談話を発表。「中国政府と軍隊の領土・主権を守る決意と意志は断固かつ揺るぎない」とした上で、「われわれは事態の推移を密接に注視し、相応の措置を取る権利を留保する」と述べ、日本への報復措置を示唆した。

人民解放軍は戦闘準備万端でしたが、中国政府は、「アメリカはどうでるか」を知っておく必要があった。威勢よく戦闘を開始し、アメリカ軍に負けたら、洒落になりません。そこで、習近平(当時、国家副主席)が2012年9月19日、アメリカのパネッタ国防相と会って探りを入れた。するとパネッタさんは、尖閣問題について、こういったのです。

尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲内であり、軍事的な衝突に発展すれば、アメリカも関与せざるをえない。

これで、日本は救われたのです。この時、パネッタさんが「尖閣は日中間の問題だ。二国間で解決してくれ」と言ったら?もちろん、尖閣は中国の物になっていたでしょう。事実を丹念に追っていくと、日本は、日米安保によって救われている、守られている
という事実に気づきます。

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