未納がこんなにも多いのに障害年金も老齢年金も貰える場合がある

 

受給できる老齢年金は?

さて、その後は65歳になって自分の老齢の年金が貰える年齢になるわけですが、この男性は貰えるのか。

年金記録をまとめると学生時代の55ヶ月間のカラ期間、60ヵ月の厚年期間、39ヵ月の全額免除期間(老齢基礎年金の2分の1に反映)があります。老齢の年金は、厚年の保険料納付済み60ヵ月+免除期間39ヵ月+カラ期間55ヵ月≧10年と満たしてるので貰える。ちなみにカラ期間は期間を満たすだけで、年金額には反映されない。

  • まず老齢厚生年金(報酬比例部分)→26万円×7.125÷1,000×60ヵ月=111,150円
  • 国民年金からの老齢基礎年金→781,700円(令和2年度満額)÷480ヵ月×(60ヵ月+39ヵ月÷2)=129,469円

あれ?どうして老齢基礎年金は国民年金からの給付なのに、厚年期間の60ヵ月を含めてるの?って思いますよね。20歳から60歳までの期間は厚年加入しようが共済に加入しようが、同時に国民年金に加入してるから。よって、老齢の年金としては総額は老齢厚生年金111,150円+老齢基礎年金129,469円=240,619円(月額20,051円)が支給される。

ところで、障害基礎年金2級の781,700円を貰ってましたよね。さっきの老齢の年金と障害基礎年金は同時に貰えるのかというと、老齢厚生年金との併給はできる(平成18年4月から可能になった)。有利な年金の貰い方としては、障害基礎年金2級781,700円+老齢厚生年金111,150円=892,850円を選ぶといいですね。

あと、障害基礎年金受給者は令和元年10月から、障害年金生活者支援給付金月額5,000円(1級は6,250円)も支給されるようになっている。よって障害基礎年金2級781,700円+障害年金生活者支援給付金年額60,000円+老齢厚生年金111,150円=952,850円(月額79,404円)となる。

※ 追記

障害年金は1~5年間隔で診断書の提出が必要。その診断書の内容で等級に該当しなくなった場合は障害年金が停止される事になる。もし、2級から3級に落ちたとなると障害基礎年金は0円となる。まあ…この男性の病気は治るのは厳しい病気だから、等級が下がる可能性は低いとは思います^^; 認定医の判断で一生障害年金支給になる場合もある(永久認定という)。

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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