ロシアでさえ国家破綻か。新型コロナが世界にもたらす3つの危機

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新型コロナウイルスの感染拡大がピークアウトに達したと判断し、経済活動を再開させつつある欧州各国。しかし世界を見渡せばそのスピードは依然衰えておらず、コロナの「悪影響」から逃れられぬ国もないというのが現状です。コロナ後について楽観的に報じる向きもありますが、誰よりも世界を俯瞰的に見てきた専門家は今後をどう予測しているのでしょうか。元国連紛争調停官で国際交渉人の島田久仁彦さんは今回、自身のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』で、コロナが世界にもたらす3つの危機を挙げるとともに、創出が期待されるマーケットチャンスの効果を享受するためのカギを記しています。

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コロナウイルスの感染拡大が変えるもの・変えないもの

5月14日時点での統計では、すでに感染者数は420万人を超え、死者数も29万人強と感染拡大のスピードは衰えを見せません。しかし、傾向としては、一時感染の震源地となった欧州各国や米国では徐々に感染の拡大は収まってきており、それにつれて経済活動の再開に乗り出す国々が増えてきています。

現在の感染拡大の主要なエンジンとなっているのが、新興国・途上国での急速な感染拡大です。共通して公的な医療体制が非常に脆弱であり、医療スタッフおよび器具が乏しいため、感染拡大に対するresponsiveness(即応性)が低く、先進国に比して感染の拡大のスピードが速くなると懸念されます。

WHOのデータによると、そのペースは1日5万人超に至っており、ロシアでは毎日1万人以上の感染が報告され、すでに23万人が感染しているとのことです。

そしてブラジルでは、ボルソナロ大統領の方針もあり、こちらでもロシアと同じようなペースでの感染者増となり、死者数もうなぎ上りになっています。「コロナは風邪のようなもの。そして恐らく多くの国民がすでに感染している。そのような中でも人は食っていかないと生きていけない」と主張し、他国のように都市封鎖も経済活動の自粛も行わず、その結果、“ボルソナロショック”と呼ばれるほど制御不能な状況になっています。

そして、今後、最大の震源地となるだろうと思われるのがアフリカ大陸です。5月10日現在のデータでは、サブ・サハラアフリカ55か国での感染者は4万人強、死者は1,300人というレベルですが、WHOが示す警告は、「もし十分な対策がなされず、対応が遅れたら、少なくとも4,400万人が感染し、死者数は19万人に達するだろう」との内容で、特にアフリカ屈指の大国南アフリカとカメルーンをはじめとするフランス語圏のアフリカ諸国では状況が深刻になるとの予測が出ています。また、アフリカで感染爆発が起きた場合、WHO専門家によると“ほぼ間違いなく”COVID-19の感染の第2、第3の波は世界全体を襲うだろうと言われています。先日来、何度かお話ししていますが、ジョンズ・ホプキンス大学によると、再度の自粛や外出制限の履行は精神的にかなりのダメージを人々に与え、そのインパクトは計り知れないとのこと。非常に懸念します。

しかし、第2波、第3波の感染拡大への懸念が打ち消すことが出来ない状況下であるにも関わらず、中国や欧米各国に続いて、新興国・途上国においても経済活動の再開を選択する動きも加速しています。全土封鎖が全く功を奏さなかったインドも、アラブ諸国中最悪の影響を被ったイラン、ボルソナロショックが悪化の一途を辿るブラジル、フィリピン、そしてロシアなどでは、【人命か経済かという究極の選択】を迫る状況になってしまっています(実際にドイツでは再度感染拡大の様相が見られ、発生地中国武漢市でも集団感染が再拡大してきているようです。恐れていた第2波がすでにスタートしている可能性がありますが、先に述べた精神的なダメージと経済へのダメージを考慮してか、経済活動の再自粛には至っていません)。

なぜでしょうか?

それは究極の選択をしなくてはならないほど、COVID-19の世界的なパンデミックは各国の経済、特に新興国・途上国の経済を深く蝕んでいるからです。

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