9月入学は「世界標準」の大ウソ。独も豪も「9月以外」の現実

 

さすがに「ワールドスタンダード」などというアホらしい和製英語を使う英語圏の人はいませんが、もうひとつの「グローバルスタンダード」という和製英語は、直訳すれば「世界標準」という意味なのに、アメリカにシッポを振り続ける厚顔無恥な日本の政治家やビジネスマンのお陰で、「米国標準」という裏の意味を持った新語として英語圏にまで浸透してしまったのです。

和製英語「グローバルスタンダード」を直訳すれば「世界標準」、つまり「世界中どこでも共通して使える基準、規格、ルール」という意味になります。でも、先ほどの各国の小中高校の入学式の一覧を見てください。あれを見て「9月入学」が「世界中どこでも共通のルール」だと言えるでしょうか?確かにアメリカやイギリスは「9月入学」ですが、そうでない国もたくさんあります。それでも「9月入学」を「グローバルスタンダード」だと言い張る一部の日本人は、世界は「アメリカとイギリスだけでできている」と思っている人たちでしょう。

高卒のあたしの拙い英語力で、あまり偉そうなことは言えませんが、少なくとも先ほどの一覧を見たら、どう見ても「9月入学」は「世界標準」ではありません。もしも日本で「9月入学」を推進したいのであれば、「9月入学」が「世界標準」だなどという事実に反した嘘などつかずに、正々堂々と「9月入学」のメリットを述べた上で、ここは「これから9月入学を世界標準として世界へ広めて行きたい」と正直に主張すべきなのです。

そして、この場合は、「グローバルスタンダード」などという曖昧な意味の和製英語ではなく、ちゃんと正しい英語で「globalization (グローバリゼーション)」と言えば良いのです。これなら「ひとつの基準や標準が世界的に拡大して行くこと」を意味するので、英語としても単語の意味合いとしても完璧だからです。このくらいの英語、高卒のあたしでも分かるのに、どうして大学まで出ている政治家たちの多くが理解していないのでしょうか?

あたしは、ヤタラと横文字を使いたがる安倍晋三首相や小池百合子氏を見ていると、本当にイライラして来ます。それは、英語の使い方がトンチンカンだからです。英単語を使ったほうが分かりやすい場面なら理解できますが、日本語で言ったほうが遥かに分かりやすい場面で、あえて分かりにくい英単語を使う安倍晋三首相や小池百合子氏、まるで敗戦後の「外国コンプレックス」のようです。

あたしは、しばらく前に小泉進次郎氏の酷すぎる英語にもツッコミを入れましたが、どうしてこの人たちは英語が堪能なふりをしたがるのでしょうか? 英語なんて英語圏の国に生まれたら幼稚園児でも普通に話せる単純な言語なのですから、話せたところで別に偉くも何ともありません。それなのに、母国語である日本語も正しく読み書きできない恥知らずが、国民の前でヤタラと英単語を使いたがる風潮。見ているこっちが恥ずかしくなります。

その上、日本人が勝手に作った「グローバルスタンダード」という和製英語が、今や英語圏で「米国標準」という意味で使われているということすら気づかない日本の政治家やビジネスマンたち。あたしは1人の日本人として、本当に恥ずかしいです。

これは以前も書きましたが、英語はイギリスの言葉なのに、子どもたちにアメリカのジャンク英語などを教えているのは世界でも日本とフィリピンくらいなのです。他の大半の国々はイギリスの由緒正しき英語を教えているのですから、本当に「グローバルスタンダード」などと言いたいのなら、学校の入学時期うんぬんの前に、まずは日本の英語教育を、世界的にマイナーなアメリカ英語から世界的にメジャーなイギリス英語に変えるのが先だと思います。(『きっこのメルマガ』2020年6月3日号より一部抜粋)

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