起訴された河井夫妻。新聞各紙の報じ方から透ける真の「黒幕」

 

買収の背景に1.5億円?

【毎日】は3面の解説記事「クローズアップ」。見出しから。

札束選挙 法廷で解明
検察、現金「参院選目的」
1.5億円「買収」呼び水か
審理 長期化も
首相謝罪「党が説明」
政権に逆風 公明「議員辞職を」

《毎日》は、特捜部による捜査の展開を振り返っている。捜査の焦点が「票のとりまとめを依頼する目的で現金を配っていたと証明できるか」だという点は、各紙同様の記述。「案里議員が自民党公認を得た3月から投開票後の8月まで続いた」現金配布が、地元議員らの「当選祝い」や「陣中見舞い」だったという説明を崩したのが、「現金提供先を詳細に示した『買収リスト」』だった」という。

1.5億円の性格については、特捜部も「党の広報誌の配布費をはじめとする通常の政治活動に充てられたとみている模様だ」と言う。ただし、無関係とまでは言っておらず、「陣営の資金に余裕が生まれたことは否定できず、検察当局も買収の背景にあるとみる」として、見出しにも「1.5億円『買収』呼び水か」と書き出している。

●uttiiの眼

1.5億円の犯罪性については、《朝日》も《毎日》もほぼ追及を断念するかのような記述になっていて、気に掛かる。

党本部による異常な肩入れ

【東京】は23面社会面の記事。見出しから。

「買収」巡り 真っ向対立
検察 立証に自信「当選祝い 通じない」

公選法違反の買収か、それとも「当選祝い」や「陣中見舞い」の寄付に過ぎないのか。《東京》が取材したある検察幹部は「過去の統一選時には地元議員らへの寄付はほとんどなかったのに、なぜ今回は大規模に現金が配られたのか。領収書もほとんど受け取ろうとしていない」と指摘、さらに「案里議員の出馬表明直後から配布が始まったことからも、買収の趣旨だったことは十分に立証できる」と言っているという。

●uttiiの眼

検察幹部の買収を立証する根拠のくだり、説得力がある。《毎日》が指摘している「買収リスト」の存在と併せ、被告側には反論しづらい点だろう。

1.5億円の性格については《東京》も「巨額の援助が買収を後押ししたのだろうが、カネに色は付いておらず、原資と断定するのは難しい」という検察幹部の話を引いているが、最後にある自民党関係者の次のような言葉を紹介している。

「党本部が異常な肩入れをしなければ、こんな大規模買収劇は起こらなかったはずだ」と。

image by: 河井あんりFacebook

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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