マジで?みんな大好き「Slack」がMicrosoftに敗色濃厚、その理由とは

 

結局はMicrosoftのTeamsが圧勝する

東海 この争いは、1週間や10日で決着が付くわけでもないので、それよりも先にTeamsのユーザーは増加し、Slackとの差が開くというように、ビジネスの環境はどんどん変わっていきます。そのような中で、Slackが訴えるという戦略を取ったことが、果たして良かったのかよく分かりません。むしろ機能改善やマーケティングなど、他の領域でやりようはなかったのかなと思ってしまうのですが、いかがでしょうか?

シバタ そういう意味では、仰るとおりでSlackはおそらく他に打てる手がほぼなかったため、これをやっていると思います。あとは、これをやることにコストがほとんどかからないので、とりあえず牽制のジャブみたいな感じで打っていると思います。

仰るように、一方、実際問題として多分この訴訟を仮にやったとしても、数年はかかると思います。そんな事をしている間にビジネスの世界では決着がついてしまって、おそらくTeamsが圧勝することになると思います。

そのため、Microsoftからすると、実態的には別にほとんど何の影響もないと思います。ただ、一応これをやられたことによって、多少の牽制はあるかもしれません。

例えば、Teamsにさらに何か独占的な地位を利用したと言われるような機能を追加するのが、ちょっとやりにくくなったりといったことです。

Zoomのようなビデオ会議の機能をもっとTeamsに入れることや、Slackにない機能を入れていくといったことは、Microsoft社内の気持ち的に多少やりにくくなるはずです

そのぐらいの影響で、Teams vs Slackに関しては、この訴訟やこの法廷問題とは関係なく、ビジネスの世界で決着がついてしまうと思います。

Microsoftは訴訟に強い

東海 そうですよね。そうすると、Microsoftは今までも色んな所で訴訟や紛争的なものを乗り越えて今は業績絶好調となっているわけですが、このようにできている源泉のようなものは何かあるのでしょうか?

シバタ これは皆さん色んな意見があると思いますが、僕が色々とMicrosoftなどの歴史を勉強した上での個人的な見解としては、「やはりビル・ゲイツがいかにすごかったか」という話だと思います。

Microsoftの80年代90年代の躍進のスピード感や戦い方を見ると、やはり今までのソフトウェア産業の歴史の中で、恐らく一番競争に勝つということに関して強いのはビル・ゲイツだと思います。

今回の話も言ってみたら、Officeというのはビル・ゲイツの遺産で戦っているわけです。そういう意味では、競争に勝つという、経営者としての競争戦略論という観点で、やはり彼ほど強い人はいないのではないかと思います。

逆に強すぎたことによって、今回のような問題が起こるわけですが、起こりつつもこうやって勝ってきているのがMicrosoftです。

当時、ビル・ゲイツが現役だった頃に、今回のような話がヨーロッパやアメリカで起こりました。当時、ビル・ゲイツが政府や裁判所などの渉外を担当し、スティーブ・バルマーがCEOになるという体制に変えたわけですが、Microsoftの業績が苦しくなったのはその後です。

これは、ビル・ゲイツという才能のアテンションがきちんとビジネスに向いている事が、いかに貴重だったかということを証明しています。そのくらいビル・ゲイツはすごいなと。もう引退しているのに、「まだここでこれだけ影響力があるのか!」というのが僕の正直な印象ですね。

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