2.外交での「問題の先送り」は成功するか?
今回の安倍総理辞任会見のタイミングは、米大統領選の前であることに意味があると思います。安倍総理から新総理に代わることで、米国、中国の両国に対して、リセットできます。
安倍総理は、トランプ大統領、プーチン大統領、習近平首席等の大物とのコミュニケーションが得意でした。しかし、新総理は外交の経験もなく、安倍総理と比べると「小者」の印象を与えるでしょう。そして、少し距離を置かれるかもしれません。
それにより、問題を先送りするという考えが政府にはあるかもしれません。通常ならば、問題の先送りは問題を大きくすることがありますが、今回の場合は先送りした方が賢明かもしれません。
おそらく、今年度末頃には、世界の行方はある程度見通せるのではないでしょうか。米国大統領選挙も終わりますし、対中制裁の行方、中国経済の行方も見えてくると思います。5G覇権問題も結果が出ているはずです。
日本もコロナ禍の経済への影響が表面化し、大変な状況になっているでしょう。オリンピックの結果も出ています。コロナのワクチン開発についても目処は立っていると思います。
ある程度の見通しがたった段階で、日本は新たな政策を発表するべきです。しかし、次期総理は一年間の任期ですので、選挙管理で終わると思います。本番は次の次の総理ということになります。
次の総理は時間稼ぎ、その次の総理選出の準備が主な業務となります。本当に大切なのは来年の秋からです。それまでに、コロナ禍が終息していることを願うしかありません。
3.政府通貨発行の仕組みをつくれるか?
安倍首相のデフレ脱却は失敗しました。その原因は、プライマリーバランス重視と金利だけで通貨流通量を調整しようとしたことです。金利を下げても、需要がなければ、企業は投資しません。
実は需要は多いのですが、企業の経済活動と直結する需要は少ないのです。そして、海外では国家が負担している事業を自己負担にしているケースも少なくありません。
例えば、介護問題です。現在の介護保険だけでは足りませんし、消費税は社会福祉に使うと言っていたのが、なし崩しになっています。
教育費も家計を苦しめています。世界には、国が教育費を全面的に負担するケースもあります。教育は国の事業であり、個人に負担させるべきではない、という考え方があってもいいと思います。
災害に対するインフラ整備も不十分です。バラマキといって、公共工事が批判されましたが、これも行き過ぎでした。
防衛費もGDP1%の枠を撤廃し、周囲の情勢を見ながら、柔軟に対応すべきでしょう。
これらの需要に対して、通貨供給量をコントロールするという発想が必要になります。そして、適度なインフレ率を保つ。
また、本気で格差是正を目指すならば、累進課税や貯蓄に対する課税も必要です。通貨の供給については、デジタル通貨を含め、政府発行通貨の検討が必要になります。
この問題を解決しないと、日本人は幸せになれません。
財務省任せではなく、政治の力と世論の力を最大限に活かすべきです。既存メディアが財務省寄りならば、ネット上のメディアを駆使する運動を起こしましょう。
これは、次の次の総理に期待したいと思います。