トランプを焚きつけ「TikTok」を攻撃させた“黒幕”の正体と真の狙い

 

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《毎日》のサイト内で「オラクル」を検索語として引いてみると、この1年間の記事は全部で31件。そこから、閲覧には別途料金が発生するウォール・ストリート・ジャーナル誌の記事とTikTokと無関係な記事を除くと15件ほどが残る。

2020年8月18日付
英紙フィナンシャル・タイムズ電子版を引用する形の共同電を紹介していて、オラクルがTikTokと「買収に関する事前協議を行った」としている。オラクルについては、バイトダンスに出資している米投資グループと協力している、と記されている。またオラクル創業者で会長のラリー・エリソン氏について「世界有数の資産家で、トランプ米大統領の支持者として知られる」とも。

2020年8月29日付
米小売り大手のウォルマートがTikTokの米国事業買収を検討していると表明。複数の米メディアが「1週間以内の交渉合意」を報じ、買収額はカナダやオーストラリア、ニューシーランドの事業を含め、200億~300億ドル(約2兆一千億~3兆二千億円)の見通しだと。また「ウォルマートは当初、ソフトバンクグループと組んだが、提案にクラウド技術が含まれておらず、トランプ政権から難色を示されたという」とも。

2020年8月31日付
中国政府は、重要技術の輸出や海外移転を制限する「技術リスト」を12年ぶりに改訂し、「人工知能(AI)関連などを新たに規制対象に加えた。「特許権やノウハウの譲渡、技術・サービスの移転」も規制対象になる」とした。規制対象となる技術を海外に輸出するには当局の許可が必要となり、TikTokもその対象に。

2020年9月14日付
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル誌が、TikTokの米事業売却交渉で、オラクルが勝者に選ばれたと報じたという共同電を紹介。

そして、きょうの夕刊の記事が既にサイトには出ていて、バイトダンスとオラクルの合意は、オラクルが「技術パートナー」としてTikTokの米国事業の運営を行うとの内容。「トランプ政権が望んだ完全な売却とはならない同事業の継続の可否は、週内に判断される見通しだ」ということになる。

●uttiiの眼

「技術パートナー」に何が為しえて、何が為しえないのか。「中国への情報流出」に関わる懸念のようなものが、たとえ「難癖」のレベルであったとしてもトランプ氏の口を衝いて出てくれば、交渉は振り出しに戻るのかもしれない。他方、トランプ支持者の会長が率いるオラクルがTikTokの米国事業(カナダ、オーストラリア、ニューシーランドを含む)を手に入れる訳で、トランプ氏自身にとっても交渉を成立させることがメリットになり得るとの見方も成立するだろう。結論は週内に出されるという。

【あとがき】

以上、いかがでしたでしょうか。米中の覇権争いについては、とかく軍事面に目が行きがちですが、技術を巡る覇権争いがその核心のところにあるのかもしれないですね。とはいえ、個々の米企業にとっては勿論、自社の利益が第一でしょうから、話は全く逆で、マイクロソフトやオラクルの経営者がTikTokの技術に目を付け、トランプ氏を焚きつけて難癖を付けさせ、自分の物にしようとしたという可能性があるのかもしれません。勿論、証拠はありませんが…。

image by:Ascannio/Shutterstock.com

内田誠この著者の記事一覧

ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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