学研の本気が日本を変えた。「科学と学習」休刊後のV字回復 意外な2本柱

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かつて、小学生の家庭学習教材といえば、学研の「科学」と「学習」が幅をきかせていたが、同2誌は2009年に休刊。昭和の子供たちにはおなじみだった、教材を自宅へ届けてくれる「学研おばちゃん」も活躍の場を失っていたのだ。しかし、学研は新しい社長のもとで「子供向け」から「大人向け」へと舵をきり再ブレークする。「テレビ東京『カンブリア宮殿』(mine)」では、少子化の時代に見事な復活を遂げた出版社「学研」の巧みな戦略について紹介する。

「学習」と「科学」の出版社。大人の付録で再ブレーク

福島県に住む氏家麻梨菜さんには、仕事と子育ての合間にやっていることがある。自作のポエムを乗せた手作りのメッセージカード作り。小さな活版印刷機を使って作る。ボードに活字をはめ込んで、ローラーにインクをなじませ、紙をセット。活字にインクを付けて印刷する。文字のかすれ具合が気に入っているという。

この印刷機は「大人の科学マガジン」の付録。「本屋さんで見かけて。思っていた以上にクオリティーが高いものが出来上がった」と言う。

「大人の科学マガジン」を出している学研。学研と聞いて思い出すのが教育雑誌の「学習」と「科学」。いまブームとなっている「大人の科学マガジン」はその大人版というわけだ。

この号は10万部以上発行したが、買った人の7割は女性だという。

「大人の科学マガジン」で爆発的に売れたのがプラネタリウム。プラネタリウム・クリエーターの大平貴之さんが監修した本格派で、累計60万部を超えるベストセラーになった。

付録は全て組み立て式だが、詳しい説明書が付いているから、工作が苦手でも安心。編集者が自ら試作するから、思い入れも強い。

「たくさんの人にいっぱい届けたいというより、少なくても、深く刺さるものを作りたいというのがあります」(「大人の科学マガジン」編集長・吉野敏弘)

3月26日には編集長が構想に5年もかけた付録がいよいよ発売になる。それがレコードメーカー。音源につなげると、カッターが溝を刻んで録音できる。すでに通販サイトで1位になるほど予約が殺到している。

コアなファンを狙う学研には、空前のお城ブームを後押しする「日本100名城に行こう」というベストセラーもある。シリーズ累計80万部も売れ、旅行ガイド本で1位になったことも。マニア心をくすぐるのは、城を攻略した証にスタンプが押せるスペースがあるところだ。

さらに熱狂的なファンがいる雑誌が、超常現象などを扱うミステリーマガジン「ムー」。そのファンの1人が、大ヒット映画『君の名は。』や『天気の子』で知られるアニメ監督の新海誠さんだ。

「子供の頃、表紙が怖かったのは覚えています。必ず目が書いてある。この目に見られている気がして、部屋の中のとにかく目が合わない場所にしまっていた」(新海さん)

最新作『天気の子』にも「ムー」を登場させるシーンがある。

「『こういうことってあるわけないじゃん』と半分笑いながら読んで、でも『もしかしたらあるかも』とか。実際はどうなんだと好奇心の入り口になる可能性がある。そんなこともあって『ムー』を映画の中に出させていただいてます」

他にも、教育からファッションまでさまざまなジャンルを出版している。

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