女子高生土砂崩れ死亡事故、マンション住民に課される巨額の賠償責任

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神奈川県逗子市でマンション脇の斜面が崩れ、女子高生が死亡するという痛ましい事故が起きてから9ヶ月あまり。その事故の前日、斜面上部に亀裂を発見した管理人が管理会社に報告をしたものの、その情報が県に伝えられていなかった事実が判明しました。このような事態を防ぐ手立てはないのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』ではマンション管理士の廣田信子さんが、危機意識を持って対応するためのマニュアルによる訓練の重要性を訴えています。

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逗子斜面崩落事故のその後のその後

こんにちは!廣田信子です。

女子高生土砂崩れ死亡事故で痛感する、土地所有者に問われる責任」のさらにその後です。

神奈川県逗子市で2月、マンション脇の斜面が崩れ女子高校生が死亡した事故で、事故の前日にマンションの管理会社が斜面に亀裂があることを把握していたものの、それが行政に伝わっていなかったことが分かった…と報道がありました。

神奈川県によると、事故の前日、斜面の上の方に亀裂が見つかり、管理人が写真を撮って管理会社に連絡した。以前から県が斜面の危険性を調べていたことから、管理会社はその日のうちに県と調査会社に次の調査の日程などを問い合わせた。しかし、この際に、管理会社は亀裂の存在には具体的に触れなかったので、県には伝わらず、対策は取られなかった。事前に亀裂を把握していたことを県に伝えたのは事故の5日後だったといいます。県は「事前に分かっていれば現地に行って危険性を判断できたかもしれない」…と。

この亀裂の写真を見た複数の専門家は「崩落の前兆」と指摘していますが、県の担当者が残したメモや関係者の証言をたどると、管理人が発見した亀裂の情報が危機感を持って共有されず、対応が後手に回った経緯が浮びます。

遺族側は、管理会社には事故前日に異変を察知しながら適切な対応を怠った、住民らも安全管理を怠ったと…として、マンション管理会社の代表を業務上過失致死の疑いで県警逗子署に刑事告訴。マンションの区分所有者の住民を過失致死の疑いで刑事告訴しています。さらに、約1億1,800万円の損害賠償を求め、住民側と協議がされています。

また、逗子市によると、崩壊した斜面はマンション敷地内の共用部分で、住民約40世帯の「区分所有」ですが、応急措置として市が負担した復旧工事費約3,000万円や、今後予定される追加工事費約5,400万円の一部を住民が負担するよう協議が行われているといいます。

県は、本復旧工事に道路のり面等の対策工事で発行できる地方債の元利償還金7割を国からの交付税で賄う緊急自然災害防止対策事業債の活用を考えているといいますが、費用負担は、第一義的には原因者負担ということがあるので、管理組合が費用負担しない訳にはいかないのです。

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