100人規模の追い出し部屋への配転命令が無効になった事例
実際、経営悪化した某大手電機メーカーにおいて100人規模の追い出し部屋への配転命令が東京地裁の判決で無効となったことがあった。その際は、部署毎の人員削減人数を機械的にはじき出したことや、リストラ対象を選ぶ基準が不透明だったこと、対象者のキャリアや年齢に配慮しなかったことなどが問題視された。
一方、同じ東京地裁において、リストラで「退職を執拗に迫られた」として社員が勤務先を訴えた裁判があったが、「違法性はない」と判断されたケースがある。
では、何が裁判官を納得させたのか。その違いは、「適正に下された低評価」をもとにおこなわれたことにあった。すなわち、然るべき評価制度がもともと設けられていて、その評価の結果として「キミは業績が悪いから、勧奨の対象になっているんだよ」と告げる形式であったことだ。さらに、あからさまに「辞めろ!」と迫るような扱いをするのではなく、「今辞めると、これだけのメリットがあるよ」「そのほうがあなたのためになるよ」という具合に、「納得づくで退職を促す」というスタンスだったことも特徴だ。
よく、「外資系企業ではアッサリとクビになる」などと言われる。しかし外資系企業といえども、日本国内で営業している限りは日本の労働基準法が適用されるはずだ。
ではなぜ彼らがクビにできるのかというと、彼らの言う「クビ」はいわば「非常に強力な退職勧奨を行う」ということと同義であり、解雇という形式ではなく、従業員との交渉によって「なんとしてでも退職の合意を取り付ける」という「合意退職」にもっていくというやりかたなのである。
そして、そこには綿密に練られた仕組みと布石がある。それによって、仮に裁判に持ち込まれても負けない形になっているのだ。実際、先述の裁判で違法性はないと判断されたケースでは、会社はこのような運用をおこなっていた。(続きはご登録の上、11月13日号のバックナンバーをご購入してお楽しみください)
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