いじめ被害家族を「悪者」に仕立て上げた新潟県立高校の大ウソ報告書

 

前任委員会の結果を覆す再調査委員会でさえも

さらに、この日のニュースでは、被害保護者は記者会見で一定の評価はしつつも、今回の再調査委員会についても問題意識を持っていた。

私がリモートでインタビューしたところ、再調査委員会においては被害当事者や加害当事者の聞き取りを実施していなかったということがわかった。また、基礎となる資料は被害側提出のものばかりで、目新しい情報と言えば、当時の校長がいじめと認めた発言をしていたが、その内心はいじめを認めておらず、被害側の保護者を黙らせるために使った詭弁であったと告白したことくらいであった。

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被害側は開示請求などを行い、自力で資料を集めた。開示請求の多くは時間が掛かり手間も酷くかかるが、自分たちの情報を知るために被害側は労力を割かなければならない状況にある

また、被害保護者は再調査員会のメンバーのうち一人のみが会ったことも見たこともない人物ということであった。

「いつも欠席していて、いったい何をしているのかわからなかった」ということである。

確かに、再調査委員会は前任調査を覆し、その問題点も指摘したが、学校による偽証や改ざんなどいわゆる二次被害の状態についてまでは明らかにできていないようである。

結果的に、モヤモヤとした不完全燃焼のような燃えカスが残るような調査であったことは容易に想像がつくのだ。

被害保護者を「悪者」に。学校と前任第三者委員会の問題点

この問題を当初から見ていくと、学校による放置状態や、いじめの問題にしっかり向き合うように申し出る被害保護者を「悪者」に仕立て上げて、学校と保護者が対立する構図があるように見せかけていたのだ。

事実、非公表となっている「前任第三者委員会の結果」と「学校による報告書」は、再調査委員会が指摘するように酷似しており、その大半は被害保護者の問題を糾弾するような内容になっていた。

事実を歪め、まともな調査すらせず恣意的に不公正な報告をおこなった学校や当初の第三者委員会の罪は極めて重い。

しかし、この問題で責任を取る人物はいないのだ。嘘をついても、誤った資料で事実関係を歪めても、誰も責任を取らない。

実は他のいじめ事案でも、いじめを否定してくる場合や自殺、未遂、自傷行為などと、「いじめ」との因果関係を否定するケースでは、その責任の所在を「被害保護者」だと主張してくるケースはあまりに多いのだ。

ある第三者委員会の報告書や調査過程では、被害保護者に責任をなすりつけるための調査がおこなわれていたというものもある。

結果、悪者を被害保護者にして、学校や環境の改善案は何も実行されぬまま、次の被害が起こる上、傷口に塩を塗りつけられる被害者側は、誹謗中傷や嫌がらせを受けて引っ越しをするなどしなければならない状況に至る。

仮に再調査が認められて結果が覆されても、第三者委員会による誤った結果によって発生した二次被害は回復できるものではないのだ。

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