2040年頃か。ステーキの本場アメリカから「本物の肉」が消える日

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あと20年も経てば、ステーキの本場・アメリカの食卓から「本物の肉」が消え始めるかもしれません。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では著者で「Windows 95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんが、シンガポールで細胞培養の鶏肉販売が許可されたという記事を取り上げるとともに、アメリカでも利用が始まっている代替肉の食味を紹介。さらに、2040年ごろには「殺戮した家畜の肉」を食べることを野蛮だと考える人が、米国の人口の半数を超えても不思議ではないと記しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

私の目に止まった記事美味すぎる人工培養肉が「家畜の肉」を駆逐する?

Singapore issues first regulatory approval for lab-grown meat to Eat Just

シンガポール政府が、細胞の培養によって作られた鶏肉の販売を許可した、という報道です。

米国では、チキン・ポーク・ビーフなどの肉を食べないベジタリアンの数が急激に増えていますが(ミレニアム世代の25%がベジタリアンと言われています)、当初の「動物を殺傷すべきではないから」「肉は健康に良くない」というものから、最近は「環境に良くないから」というものに大きくシフトしています。

特にビーフは、餌の穀物を育てるために膨大な土地と水が必要な上に、牛がゲップやオナラの形で大量のメタンガスを発生し、それが二酸化炭素と並ぶ地球温暖化の主たる原因にもなっています。

また、成長を促すためのホルモン投与が、人間の健康に影響を与える可能性も否定出来ません。病気の予防のための抗生物質の投与は、抗生物質に耐性を持つ菌を生み出す結果となり、それが人への感染能力を持った場合の被害の大きさは、COVID-19以上のものになる可能性すらあります。

培養タンクの中で幹細胞に適切な刺激と栄養素を与えることにより筋肉を培養する技術は、その問題の解決策の一つとして、10年以上前から盛んに研究が行われています。

数年前まではコストが高すぎて全く現実的ではありませんでしたが、順調にコストが下がっているようで、ようやく試験的な販売が始まるようです。

今回、シンガポール政府から、培養肉の販売の許可をもらったのは、JUSTという会社です。これまでは、主にプラント・ベースの代替品を製造販売してきており、「JUST Egg」という卵の代替品は、近所のスーパーで購入することが可能です。

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