「質の良い睡眠」は売れる。スリープテックに学ぶビジネスの本質

 

スリープテックの代表的な商品といえば、布団やマットレスなどの寝具にITを取り入れる、というグッズとサービスの組み合わせです。

名古屋にある、株式会社MTGという会社は、「NEWPEACE Light」という、リラックスして気持ちよく眠るための、マットレスを出しています。このマットレスは、寝ている間の独自のストレッチの動きで、凝り固まった身体をやさしく伸ばしてくれるので、毎日の体のストレッチが自然にできる、というものです。

寝具大手の西川は、パナソニックと組んで、マットレスで睡眠時のデータを収集する、快眠環境サポートサービスという、継続課金サービス(サブスクリプション)を手がけています。寝ている間のデータを計測して、最適な睡眠かどうかなどのアドバイスを提供します。

加えて、連動しているエアコンで空調や温度を調整したり、音楽プレイヤーでリラックスできる音楽をかけたりと、ゆっくりと眠ることができる環境を整える、ということができます。

スリープテックの本質は何か?

ではなぜ、スリープテックの商品をだすのでしょうか?まず、これらの商品の特性を考えてみましょう。今まで、単品で販売していた家電商品や、布団などの寝具が、売り切りの商品ではなくなり、継続の商品になります。売り切りの商品は、購買者との関係も1回で切れてしまい流れていってしまう“フロー”の商品です。

一方で、継続の商品は購入者の元に「とどまる」“ストック”の商品です。アマゾンのKindleは典型的なストック商材です。Kindleを購入したユーザーは、以降ずっと、アマゾンでのみ電子書籍を購入します。これは、ストック商材である、据え置き型のゲーム機を一度買ってもらえば、ゲームソフトを継続して購入してもらう、という組み合わせと同じですよね。

また、この商品では、アプリを追加したり、サービスを改善していくことで、ユーザー側の愛着も湧いてくるので、ブランドスイッチを防ぐこともできます。西川とパナソニックのスリープテック商材のケースでは、スリープテック布団とアプリの組み合わせ、継続的に、有益な情報を提供することで、ブランドからの離脱を防ぐことができます。さらに、エアコンなどの周辺需要がある家電製品を、購入してもらうことで、売り伸ばしにもつながります。このように、ストック商材があることで、安定的な収益が見込めるのです。

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