利権はあっても理論なし。竹中平蔵氏と菅首相の哀しき共通点

 

竹中平蔵と浜矩子は同じゼミ

竹中平蔵の「市場に任せる」は己の「私情に任せる」だと思いついた。彼を糾弾して私は『竹中平蔵への退場勧告』(旬報社)を緊急出版したが、幸い増版となった。それに付け加えなければならない話が浜矩子と私の共著『どアホノミクスの正体』(講談社+α文庫)に出ている。

浜の、アベノミクスはアホノミクスだという指摘は秀逸だった。それに「ど」を冠して「どアホノミクス」である。

「一時は竹中が日銀総裁になるという話もあった。こうなってみると、竹中と大して変わらない黒田東彦が総裁になってしまったという話ですよね」と私が言うと、浜は、「多少図々しさに違いはある程度ですね」と応じ、私が、どちらのほうが図々しいですか」と尋ねると、浜は、「竹中のほうが遥かに。黒田は若干うろたえた雰囲気がたまに出る一方で竹中平蔵はいけしゃあしゃあと人の痛みを無視できそうな雰囲気がある」と断罪した。

その竹中は、浜にとって、一橋大学の山澤逸平ゼミの2年先輩になるという。「それは『山澤ゼミ秘史』ですね。同じゼミから両極端の人物が輩出されたということですか。う~ん、それは何とも。竹中は直接に知り合いですか」と驚くと、浜は答えた。

「面識はあります。テレビの討論で出会ったり、新幹線の中で会ったりとか。ただ、一橋大学のキャンパスで彼を見たことは一度もありません。私はまじめな学生でしたから、すべての授業にしっかり出ていました。いくら2年離れているとはいえ、同じゼミなら一度くらい顔を合わせそうなものなのに。竹中が如何に、まともな経済学をまともに勉強していなかったかがわかるというものですね」

浜は「中立であることが科学的・学者的であると思ってしまう傾向」がアホノミクスが出てくることを許してしまった知的背景だと批判し、当時の野党の民進党の弱点も同じだと直言した。

「いま、民進党は政権への色気だけで抵抗しているから、政権に歯が立たない。野党は野党として徹底的に政権を批判し抜けばいいのであって、蓮舫の言う対案型など最悪です」わが意を得たりと私も、「『対案を出せ』という奴と『自己責任』を言う奴は敵なんですよ」と応じ、浜は次のように論断した。

「『対案を出せ』と言われて、素直に対案を出すのは最も愚かです。『馬鹿にするな。そんなことのために我々は生きているのではない』と言わなければいけない。そこが本当に弱い」

ちなみに4年前に出したこの本は2ヵ月で5万部に達し、『どアホノミクスよ、お前はもう死んでいる』という続編がでた。(メルマガ『佐高信の筆刀両断』より一部抜粋・文中敬称略)

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