ホンマでっか池田教授が指摘、Qアノン信者と人為的地球温暖化論者の共通点

 

と、ここまで書いて、実はこれって人為的地球温暖化論者の手口と選ぶところがないと気が付いた。1990年代に人為的地球温暖化を叫ぶ人たちは、2020年には地球は温暖化して危機的になると言って、人々を脅かしていたが、温暖化は20年以上前からストップして、地球は危機的にならなかったので、今度は、2050年には大変なことになると言って、時間を先延ばししている。そう考えれば、人為的地球温暖化論は「カルト」だということがよく分かる。信者の数と「カルト」に注ぎ込まれた膨大な税金を鑑みれば、Qアノンより質が悪いかもしれないな。

実は、本物のバイデンはすでに刑務所に収監されている、といったすさまじい妄想もある。これで思い出したのはカプグラ・シンドロームである。V.S.ラマチャンドランの名著『脳の中の幽霊』(角川書店)に詳しいが、少しおさらいをしてみよう。

自動車事故で頭をフロントガラスに強打して3週間も昏睡した後、意識が戻ったアーサーという少年の物語だ。アーサーはリハビリ療法の甲斐あって、見かけはすっかり正常になったが、一つだけ両親が偽物だという妄想にとらわれて、いくら本物だというエビデンスを示しても偽物だと言い張ったという。

不思議なことに、アーサーが偽物だと言い張るのは両親に関してだけで、以前の知り合いはどんな人でもちゃんとわかり、偽物だとは言わない。さらに両親と電話で話す時には偽物だと言わない。アーサーに限らず、カプグラ・シンドロームの患者は、親しい人(両親、子供、配偶者、兄弟姉妹)を見ると、別人だと思い込む。患者の3分の1は、自動車事故のような脳の外傷性障害に端を発しているようだが、自然発生的に起こることも多い。今のところ、有効な治療法はないようだ。

脳の中には様々な領域があるが、顔や物を認識する領域は側頭葉にある。顔を認識した側頭葉から大脳辺縁系にある扁桃体に情報が送られると、情動の中枢である扁桃体は、愛、怒り、幻滅、暖かさ、等々といった感情を発火する。親しい人や不倶戴天の敵の顔を見ると感情の発火は激しく、そうでない人では取り立てた感情は起こらない。

ラマチャンドランの仮説では、カプグラ・シンドロームの人は、認識に関する領域と、情動に関する領域の連結に障害があり、アーサーは、以前は両親を見ると感じていた「あたたかさ」を少しも感じないので、何かおかしいと思い、目の前にいる人が実は両親ではないというお話を作って、認識より自分の情動の方を優先したのだという。

アーサーの場合、人の声を認識する領域と扁桃体の連結は阻害されなかったので、電話の場合は両親の声で「あたたかさ」を感じたので、両親が喋っていると信じることができたわけだ。また、以前の知り合いは、昔も今も、会見しても、さしたる感情が浮かばなかったので、偽物だと思う理由はなかったということになる。

print
いま読まれてます

  • ホンマでっか池田教授が指摘、Qアノン信者と人為的地球温暖化論者の共通点
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け