【書評】感染症の危機も。増えすぎた野生動物に殺される日本人

 

野生動物の生息数が増加したことは、専門家も認めている。その理由を「政策的に保護したおかげ」だけだと説明するのは無理がある。動物たちの繁殖力が急に強まったわけでもあるまい。

決定的な原因は不明だが、確実に言えることは奥山にも里にも餌がたっぷりあること。一方で人が減り、人里に侵入しても追い払われない。野生動物が餌に困る可能性は低い。

都市住民は農山村民以上に野生動物の知識がなく、警戒心なく近づき手を伸ばす人までいる。その行為の危険性に気付いていない。行政が仕方なく駆除したら、安全圏に住む住民から「動物を殺すな」という苦情が殺到する。

コメンテーターは「悪いのは動物ではなく、彼らの生きる場所を奪ってきた人間だ」という怪しげなコメントを出す。カワイソウという感情だけで駆除に難色を示す。生息数が増えていることを理解せず、また人と接触することの危険性にほおかむりしたまま思いつきのコメントをばらまく。

今後、都会は間断なく侵入する野生動物に悩まされることになるだろう。いつまでも「珍しい出来事」ではすまない。対策を早急に練っておくべきだが、まずは都市住民の野生動物に対する認識を改めさせる教育が必要だ。

もし侵入した動物が人を襲って大怪我をさせたら、感染症を持ち込んだら……。そのときになって騒いでも手遅れだ。お役所頼み、他人頼みはやめて、個々人が対処方法を身につけなければならない。ところで、わが埼玉県戸田市は真っ平ら。森林がないから、野生獣がいない。人間だらけだ。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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