約40年も発売延期になったまま。幻のセカンド・アルバム『BOY』CD化への道
前項のご長女へのインタビュー内にも登場した、幻のセカンド・
1982年7月25日の発売が事前に予告されながら、諸事情で延期となり、現在も未発売のままとなっている。
その存在は、滝沢のラスト・シングル『サンデーパーク』(

滝沢のラスト・シングル『サンデーパーク』(1982)
ご遺族の話によると、
しかし、発売直前に行われた社内の販売会議の選考に漏れ、

『BOY』レコーディングが行われた「伊豆スタジオ」。滝沢の自宅に全員集合し、カレーを食べてから車で伊豆へ向かったという

伊豆スタジオ『BOY』レコーディング合宿の様子。右側で酒瓶を持っておどけているのが滝沢。中央の茶色いメガネの男性がアレンジ担当の徳武弘文氏

伊豆スタジオにてシンセの名機『プロフェット5』を操作する滝沢
現存していた幻のマルチマスター・テープ
このアルバムのマスター音源は、現在どうなっているのだろうか。そして、
幻のセカンド・アルバム『BOY』に関しては、
自分もずいぶん前に滝沢さんのご遺族からメールを頂戴し、 やりとりしたことがあります。 『レオニズ〜』が出た後、
実はCD化に向けて動いていた方がいらしたんです 。現在もいろいろなアナログ音源の復刻に尽力されている方です。 すぐに彼とコンタクトを取ってみましたが、『BOY』
のマルチマスター・テープの存在、 レーベルコピーはもう確認できているそうです。 ところが、
その後に制作した記録のある2chミックスのマスター・テープが保存され ていないようです。
なんと、マルチマスター・テープは現存しているという。しかし、
後日、ご遺族にこの件をお尋ねすると、「
立ちはだかる壁と差し込んだ希望の光
このデータから、幻のセカンド・
「この音源データでCD化は可能でしょうか?」
ワーナーミュージック・ジャパン・インターナショナル・ストラテジック邦楽部門の小澤芳一(おざわ・よしかず)氏は、今まで数多くの名盤のCD復刻に尽力されてきた人物だ。2年ほど前に滝沢の『BOY』のCD化に向けて、マスター・テープの所在確認や権利関係の調査を進めていたという。その小澤氏からの回答は以下ようなものだった。
「おそらく2chミックス・テープからカセットに落としたものだと思いますが、ヒスノイズが目立ち、このままではCDマスターにはなりません」
しかし、このミックス音源を参考にしながら、現存するマルチマスター・テープからミックスダウンをし直すことは可能だという。
マルチマスターは4本あり、これをすべてミックスダウンしたとして、マスタリングをかける費用を含めてもそう高くは無い金額でCD用のマスター音源は作れるそうだ。

滝沢家に保存されていた『BOY』のジャケットデザイン
そして、ご遺族が長年ずっと願い続けてきたセカンド・アルバムの発売は、2024年12月18日に実現した。本来の発売日である1982年7月25日から丸42年。32歳の滝沢がシンガー・ソングライターとして全精力を傾けて作り上げたセカンド・アルバム『BOY』は、少年時代の海外生活の記憶や夢をいっぱい詰め込んだまま、再び海を超えようとしている。
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