さて、最近「まんぼう」という言葉が流行っているらしい。
「まん延防止等重点措置」の略らしいが、大阪や兵庫などの感染者が増えたことで、現実に施行される。結果的に、再び8時に店が閉まるという異常事態に戻る。
何度も言うように、もちろん会食や宴会はできなくなるが、同時に、医療関係者などが、ちょっと仕事が遅くなる(8時くらいに終わるのはざらだ)と店で食事ができなくなるし、運輸業の人たちも気をつけないと(経験的にいうと食事を摂ると眠くなることが多いから、本来ならその日の仕事を終えてから食事を摂りたいだろう)外食にはありつけなくなる。
そんなこととは関係ない、セレブ集団のテレビコメンテーターからこんなことを強要されたくないというのが本音だ。
感染者が増えると病床がひっ迫するなどと脅す人は多い。しかし、それはなんのために医療関係者からワクチンを接種するのかがまったく無視されている。
まともな医学知識のある医者なら、ワクチンを接種することでコロナに感染している患者を、これまでより安心して診れる。感染するかどうかはともかくとして、感染しても大したことにならないと思えれば安心できる。
もっといえば、あと120万人分のワクチンがあれば、日本中の入院患者(コロナ入院でない一般入院の患者)にワクチンを打つことができる。コロナ患者を引き受けても、入院患者が感染から防げたり、感染しても重症にならないで済むというのなら大幅に民間病院でコロナを引き受けるところが増える。
実際、他のベッドをつぶさなくてもコロナ患者を引き受けられるなら、助成金だけで病院としてはコロナ患者はありがたい存在だからだ。
「まんぼう」などと言って経済を抑えるより、さっさとワクチンを医療関係者と入院患者に接種して、医療のひっ迫を抑えた方が明らかに医療関係者にも(暖かい晩御飯が食べられるという点で)ありがたいし、文化も食文化も破壊しなくて済む。
そういうことがわからない人が、顔がいいだけで人気知事になるのがこの国の哀しさだ。
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