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3.グローバリゼーションの終焉

コロナ禍により、世界の市場で機能を停止し、海外渡航者も貿易も減少した。

同時に、中国が政治的に経済をコントローローバルサプライチェーンの見直しを迫られた。更に、中国のウイグル人の人権弾圧も明らかになり、世界各国が中国のジェノサイド認定を行っている。

こうなると、これまでのグローバリゼーションは維持できない。グローバリゼーションの全面的な見直しが始まっている。

グローバリゼーションとは、究極の低コスト大量生産システムである。原材料の調達、加工、物流等を世界規模で見直し、最も合理的なサプライチェーンを構築してきた。その前提は情報と物流の自由が担保され、公正な取引のルールが存在することだが、その前提は崩れつつある。

世界規模の巨大な分業体制を維持するよりも、世界各国、あるいは地域単位でサプライチェーンを完結し、独自の商品を生み出す方が付加価値も高まる。

また、世界共通市場を育てるよりも、地域単位で特徴ある市場を育てることで、地域のアイデンティティが生れる。

グローバリゼーションは一部の勝者と、大多数の敗者を生み出した。一部の超富裕層を育てたが、多くの貧困層も生み出した。そして、大量生産は廃棄物を増やし、環境を破壊し、国際的な物流のため多くの化石燃料を消費した。

SDGsという観点からもグローバリゼーションをこのまま継続することは困難となっている。

4. コロナ禍は壮大な実験だ

コロナ禍は、「グローバリゼーションという地球規模の思想」「会社や学校のあり方」「地域社会や家庭の役割」「個人の仕事に対する意識」等を同時に転換させた。

見方を変えれば、我々は巨大な社会実験を行っている最中である。

コロナ禍が終息しても、コロナ禍以前には戻れないだろう。戻りたくても、コロナ禍以前の社会は既に存在しない。

時代の転換は、我々の意識を変える。私はそこに興味がある。コロナ禍が我々をどのように変えるのか。

多くの人は、環境が変化しても、自分自身を変えようとはしない。自分の変える前に、外部の新しい要素を導入して、変化に対応しようとする。

例えば、店頭販売が低調となり、マイナス分を補うためにネット販売を始めたとする。しかし、店頭で売れるモノとネットで売れるモノは異なる。ネット販売で成功するには、商品そのものを変えなくてはならない。ネット販売が成功すれば、今度は店舗に経費をかけるより、物流や広告に経費を使うことを選ぶだろう。結局、店頭販売からネット販売へと自らの考えが変わったことになるのだ。

変化に対応するには、自分を変えるしかない。社会を自分の力でコントロールできない以上、自分を変える方が簡単だ。

こうして、コロナ禍は、一人一人の考えや行動を大きく変えるだろう。そして、その集積として時代が大きく転換するのである。

■編集後記「締めの都々逸」

地球規模より 地域の規模で 仕事の後の  酒を飲む

農耕民族にとって、酒を飲むことは、とても大切な行事であり、文化だったと思います。

その大切な文化を深く考えずに、ぶった切るという行為には、腹立たしさを禁じ得ません。

仕事だけして酒を飲むな、だと。そんな横暴がなぜ、許せるのか、私には理解できません。

酒を飲んでも感染しない方法があると思います。それを考えずに、安易に他人の生活に制限を加える行為は、必ず罰があたると思います。

酒を飲む意義を見直す。そんなこともコロナの影響かもしれません。(坂口昌章)

image by: StreetVJ / Shutterstock.com

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