トランプ敗戦も3千万人以上が信奉?「Qアノン」で分断した米国の深刻度

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トランプ前大統領の熱狂的支持者の中に数百万人単位でいると見られていた陰謀論「Qアノン」の信奉者が、実は3000万人以上もいるとする驚きの調査結果が公表されました。今年1月6日の米議会襲撃事件発生後に、新聞が「Qアノン」をどう報じていたかを検証しアメリカの分断の深刻さを伝えたメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』では、著者でジャーナリストの内田誠さんが再び、その後の「Qアノン」報道を追っています。トランプ氏の敗戦確定後に混乱しつつも陰謀論を捨てきれず、何かのきっかけで信奉者が勢いを増す可能性を感じ取っているようです。

トランプ氏を支えた陰謀論「Qアノン」を新聞はどう伝えてきたか?

きょうは《東京》から。「Qアノン」について重要な記事が掲載されています。当メルマガはこれまで、昨年の10月2日付と今年の1月6日付の2回、「Qアノン」についての記事を取り上げてきました(10月は「陰謀論」での検索でした)。いずれも《読売》からでしたが、今回《東京》が注目すべき内容の記事を掲載しました。

《東京》のデータベースで1月7日以降の「Qアノン」を含む記事は17件ありました。今回は、1月6日の記事のリンクを貼り、そこに今回の分を上乗せする形になります。まずは今朝の《東京》4面記事の見出しから。

「Qアノン」信奉者 3000万人以上?
共和・右派メディア 支持者に多い傾向

以下、記事の概要。昨年の大統領選に大きな影響を与えたとされる陰謀論「Qアノン」を強く信奉する人が、米国人口の10分の1に当たる3千万人以上とする調査結果を、米公共宗教研究所などがまとめた。全米の17歳以上5千人余りに実施された調査の結果で、これまでは数十万人から数百万人とする報道や専門家が多かったという。

調査は、「政界やメディア、金融界はこどもの性的人身売買を行う悪魔崇拝者に操られている」など、「Qアノン」の基本的な三つの陰謀論を信じる人が14%に達し、「総人口に当てはめると3千万人を超える」と。トランプ氏寄りの「ニュースマックス」など右派メディアを最も信頼すると答えた人は、3大ネットワークを最も信頼すると答えた人に比べ、「Qアノン」信奉者である確率が8.8倍高かったと。

●uttiiの眼

これまでの捉え方は「Qアノン」の影響力を実際の10分の1以下に過小評価していたということになる。巧妙に組み上げられた陰謀論(あるいはデマ)ということもあるだろうが、教養の比較的高い層にも受け入れられている可能性があるとしたら、それはネットとSNSいう情報環境のなせる技という点を抜きには考えられない。

ネット上では、既存のメディアが送り出してきた情報の属性のほとんどが、個人によって「再現」可能になっており、要は、テレビカメラによる撮影も、編集も、生中継も、キャスターぶり、コメンテーターぶりの発言さえ可能になっている。「情報配給者」としての独占性は、既に大手メディアから奪われてしまっている。そして、数千人が協力して作り上げているニュースと、個人が発信する「情報」とがサシで勝負できるかのような環境が、できあがってしまったということがある。

そこに、既存メディアはうそつきだという“情報”がネット空間に拡散されると、アッという間に「反感」が増幅され、大手メディアの信頼は失われ、正体不明の「Qアノン」が優位となる条件が生まれる。そんなことかと思う。それでも、「Qアノン」信奉者はまだ10人に1人に過ぎない、と考えることもできるが…。

【参考】2021年1月6日号掲載記事:
議会占拠のトランプ支持者らが信奉する「Qアノン陰謀論」と米分断の病理 – まぐまぐニュース!

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