都議選で記録した“過去最多”を報じようともしなかった日本の大問題

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自民党の敗北や野党共闘の成果ばかりが伝えられる東京都議会議員選挙報道ですが、女性当選者数、立候補者数ともに過去最高を記録したことをご存知でしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では著者で健康社会学者の河合薫さんが、この数字の扱いが驚くほど小さい理由を考察するとともに、「数」を問題にする必要性を強く訴求。その上で、かねてから発信してきた「クオーター制を議論すべき」という意見を改めて提示しています。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

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報じられなくなったニュースほど価値がある

「都議選 自公過半数割れ」という見出しがメディアで飛び交う中、ひっそりとある“数字”が過去最高になりました。

女性の当選者が41人となり、過去最多を更新したのです。当選者のうち女性が占める割合は32%で、立候補者も77人で過去最多。前回の65人を12人上回りました。

政党別では、一番多かったのが共産の14人。次いで、都民ファーストの会12人、自民と立憲民主がそれぞれ4人と続きました。政党ごとの当選者に占める女性の割合は、ネット100%(当選1人)、共産74%、都民ファースト39%、立民27%だったのに対し、政権与党の自民はわずか12%で、公明も13%と2割にも達していませんでした。

数年前ならビッグニュースになっていたのに、驚くほどその扱いは小さく、「過半数割れ」と並列で大きく扱っていたのは東京新聞だけ(あくまでも私が確認した限りですが)。選挙速報を見ていても、「女性多いなぁ」という印象を持った人は少なくないはずなのに何なのでしょう。この「熱」の低さは。

「男女の比率が同じ」=当たり前なので、ニュース価値がないと言うならわかりますが、政権与党が1割しかいないのにニュースにならないとは全くもって理解できません。

あれだけ「女性活躍!」「女性3割!」と錦の御旗をたて、「わきまえない女性発言」に怒り心頭だったのに…。

要するに「数などどうでもいいよ。実力がある人がなればいいんだよ」が真意なのでしょう。

しかしながら、「数」の力は大きい。想像以上に大きい。だから「数」を問題にする必要があるのです。

人が置かれた環境次第で、意識も、言動も変わることを説いたのは組織心理学者のRM.カンターです。カンターのエスノグラフィー調査では、「全体の3割」をマイノリティー(女性)が占めるようになると、やっと「マイノリティの意見」にメンバーたちが耳を傾けることがわかっています。そして、4割、男女の比率が6:4になると、性差の分け隔てが消え、個人の資質や能力が正当に評価されます。

つまり、3割以下だと、どんなに高い能力があっても、戦力にしてもらえないのです。「余計なこと言うな。言われたことだけやっておけばいいんだよ」と同化することを暗黙理に強制されてしまうのです。それに従わなければ、排除されるのみ、です。

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