ジェンダーの悩みを抱え続けているモデルを救った「母の一言」

 

調べていくと、やはり獏くんのことを陰で「気持ち悪い」と言っている子はいて、本人はとても傷ついたと言っています。そしてその時の事を作文にしていました。こうありました。

「気持ち悪い」

いきなり、耳を疑うような言葉が僕の耳に飛び込んできました。

え、僕のこと?僕のどこが気持ち悪いの?

その日から僕は周りから変な目で見られているように感じました。少しずつ自分を変えようとしました。

肩まであった長い髪をバッサリ切って、なるべく周りの男子に合わせました。

鏡を見る度、理想の自分ではない自分が映っていて本当に辛かったです。

けれどそのときの僕はありのままの自分ではいられなかったのです。

楽しくはなくてもできるだけ男子と関わろうとしてみました。

無理をするのは思っていたよりも何倍も何倍も苦しかったです。色のない、白黒の毎日でした。

実は獏くん、この作文を書いた時に、当時、中学の担任の先生から「少年の主張に出てみないか?」と誘われ、島根県では島根県知事賞。そして全国大会では文部科学大臣賞を受賞しています。そしてその作文の中で、今の自分に自信を持たせてくれたのは…お母さんだった、と言っているんですね。

その時の事を獏くんはこう言っています。

「中学2年生のある日、家にいたら唐突に母に呼ばれて。『漠って男の子が好きなの?』と、聞かれたんです。

その時の母は真剣そのものだったから?本当の自分?について話すしかないなって。

理解してもらえるかわからないし、怖くて不安だったけど、やっと誰かに話せるという気持ちもありました。

『気持ち悪い』と言われて苦しんだこと、髪を短くして辛かったこと、男の子も女の子も恋愛対象になるということ、全部話しました。

そうしたら母が『漠は漠のままでいいんだよ』と、私のすべてを認めてくれたんです。

その瞬間に私の人生は変わりました。誰かが自分のことを認めてくれるというのはそれくらい大きなことだと思います」

お母さんにとっては、自分の息子に「あなたは男の子が好きなの?」と聞くことはとても勇気のいる事だったと思います。そしてすべてを聞いたお母さんも、何の批判も指摘もなく「あなたはあなたでいい」と言われたこと。すごいお母さんだと思いますし、獏くんは心から安心したと思うのですね。やはり一番の力になってくれるのは、お母さんなんだな~と改めてその影響力の大きさを感じたのでした。

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