ユニクロと日本経済を欧米が狙い撃ち。ウイグル「新疆綿」停止が分断する世界市場

 

3.自国経済に影響のない制裁を行う

他国を経済制裁する時には、自国の被害を最小限度に抑える。中国製品を全面的に禁輸にすれば、たちまち経済が混乱する国は少なくない。

米中両国は厳しく対立しているが、この4月には両国の貿易額は397億ドル(約4兆2600億円)となり、前月比43%近く増加した。中国は米国の貿易相手国としてメキシコ、カナダを抜いて最大となった。この貿易額急増は、中国が米国からの農産物などの輸入急拡大を約束した貿易合意が1月に調印されたのを受けたものだ。つまり、米中は対立しながら、貿易を続けているのである。

今回の新疆綿問題も、あくまで新疆ウイグル地区の綿花を使った綿製品やトマトに限定している。米国は新疆綿製品を輸入禁止にしており、その米国に輸入禁止製品を輸出しようとして、税関で止められるのは当然である。

また、米国は綿産国であり、中国の綿花に依存していない。新疆綿の製品を輸入禁止にすれば、むしろ米国産の綿花の需要が拡大するだろう。

ウイグル地区で生産している太陽光パネルの原料については触れないし、刑務所等の強制労働で生産されているイルミネーションようLEDについてもノータッチだ。これらの製品は代替えが効かないから、目をつぶっているのだ。

EU諸国は、トルコやインドからの綿製品が主流なので、こちらも新疆綿の輸入禁止は問題ない。

うがった見方をすれば、新疆綿を使った綿製品の制限は、中国だけでなく日本経済に対してもダメージを与えたいということかもしれない。米国もEUも日本経済を弱体化させたいのだから。

4.米国、中国共に日本経済を敵視している

最早、世界中の国々が自由に貿易できるというグローバル時代は終了してしまった。

中国はビジネス戦や貿易戦も想定した「超限戦」を展開した。それを証明したのが、マスクや防護服の輸出禁止だった。

そもそも日本企業は中国政府や中国企業に踊らされてきた。中国ビジネスは儲かると信じさせ、実態は様々な障壁や法律の壁が存在し、儲けられなかった。最終的に生産設備とノウハウを全て中国企業に渡し、撤退した企業も多いし、日本国内のビジネスで蓄えた資産を中国で失った企業も多い。

米国のトランプ元大統領は、「アメリカファースト」を掲げたが、それ以前も、常に米国は日本経済を制限し、打撃を与えてきた。

終戦後、日本には独自の飛行機を開発させなかったし、米国製の兵器を売りつけられた。

繊維、家電、半導体、自動車等で貿易摩擦を起こし、米国の双子の赤字を解消するために、円高ドル安に誘導された。

それでも、常に日本は米国債を買い続け、ドルを大量に蓄えてきた。最終的には、日本経済の強みだった、終身雇用や年功序列、護送船団方式、株の持ち合い等に対して、次々とルール変更を強制してきたのである。

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