自民党総裁選が炙り出した、逃げれば「日本破綻」レベルの大問題

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菅首相の総裁選不出馬宣言を受け、にわかに色めき立ち始めた自民党内。連日、党首の座を狙わんとする議員たちのさまざまな発言が、あらゆるメディアを通して伝えられています。そんな総裁選において、「非常に深刻な2つの対立軸が浮上してきている」とするのは、米国在住作家の冷泉彰彦さん。冷泉さんは自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で今回、その各々を詳細に解説するとともに、解決策についても考察しています。

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自民党総裁選と総選挙、国家百年の大計と向き合えるのか?

菅総理の総裁選不出馬宣言には驚きました。ただ、仮に党人事や強引な解散が行われていたら、政局はもっとカオス状態になっていた可能性があるわけで、今回の退陣劇で、秋の政局はやや構図が単純になったとも言えます。

既に可能性は消えましたが、仮に総理があくまで続投にこだわり、強引に人事をやり、本当に9月13日前後に解散していたら、どんな事態になっていたでしょうか?例えばその総選挙が大惨敗になっていたら、政界再編を行うエネルギーがどこからか来るのかどうか、考えただけでもカオスが待っています。

とにかく自民党総裁選は9月29日の投開票でほぼ決定、そして総選挙については新政権の浸透を待って実施という可能性となりました。現在言われているのは、その場合は、任期満了解散ではなく任期切れギリギリのタイミングで新総理が解散を行うと、最遅で「11月28日の投開票」まで先延ばしができるようです。

仮に新型コロナの感染拡大トレンドが、どんどん沈静化していくのであれば、投開票は遅い方がいいわけで、本当に11月28日という線になる可能性はあるようです。自民党とすれば、新政権の人気化に加えてコロナ禍の感染拡大が抑制できれば勝てるという計算をしているのかもしれません。ですが、そうは単純にはいかないと思います。

確かに、コロナ禍における医療崩壊、オリパラ強行、そして何よりもネガティブな事実を認めて説明する姿勢がゼロであったことへの怨念といったものは、菅義偉という人物の個性であったとして、その政治的な負の遺産は彼が個人的に全額背負って、政治的に破産してチャラということで済むかもしれません。

ですが、仮に感染が沈静化しても、こうした問題とは別に、もっと長い時間軸における「選択」が迫っている、ここからは逃げることはできません。今回の総裁選では、その「選択」が一部ではありますが、透けて見えるように思います。かつてなかったような、本質的で重要な選択肢、つまり対立軸が存在しているのです。

表面的には、色々な「セール品」が展示されています。例えば、高市早苗候補は「男系による皇位継承」が重要と考えていますが、現在の継承順位対象者も含めて、象徴天皇制下における帝王教育の体制が絶無である中では、皇位継承者に必要とされるスキルが備わらないことで、皇位継承への世論の支持が瞬間的に消滅する危険があるわけです。男系がどうのという論点を出してくるだけで、危機感が何もない絵空事に聞こえます。これで自他ともに右派とか保守というのは、チャンチャラおかしいとしか言えません。

一方で、岸田文雄氏は、どうやら本気で格差への再分配を行うようです。しかしながら、長年財界本流の応援団であった宏池会が、どうしてそのような変節に至ったのか、そもそも彼の原点が「森喜朗=清和会的なるもの」への対抗、すなわち「加藤の乱」にあって、その情念が格差への再分配という左派政策として残っているのかどうか、全く分かりません。格差への再分配といっても、機会を与えられなかった都市の個人を救うのか、衰退した地方経済の延命治療にカネを垂れ流すのかのも不明です。

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