京大教授が激怒。子供たちを自殺へ導く日本政府のコロナ「ゼロリスク戦略」

 

以上纏めると、この話は次の様な話だと思われます。

第一に子供達に「大人のエゴ」だけで自粛を強要するなんて極めて不道徳です。

そして第二に、その「大人のエゴ」の視点からみても子供達の自粛が有効であることが明らかなのだったらまだしも、(安倍総理が休校措置を行った時点においてすら)有効でない可能性も十分あった中で自粛を強要するなんて、さらに滅茶苦茶不道徳不当な話です。

しかも第三に、今となっては、大人のエゴにとってすら有効でないと言うことが、学術的にほぼほぼ明らかにされている(=自粛にはコロナ感染症をマクロ敵に抑制する効力はほとんどない)のに、ただただ自粛を強要するなんて、超絶に滅茶苦茶、不道徳、不埒な話になっているわけです。

事ここに至れば、大人のエゴで子供が犠牲になる、という話を超えて、単なる何の意味もないナンセンスな「虐待」の様な話になってしまっています。

ではなぜこんな事になってしまっているのかと言えば、その背景にあるのは、

「兎に角コロナは抑え込まなきゃダメなんだ。そのためには、無駄だろうと思われることでも、一応全部やっておけ」

というノリがあるからに他なりません。

このノリを「ゼロリスク思考」と呼ぶとすると、この「思考」こそが、子供達に自粛を強要し、自殺に追い込んだと言う他ないでしょう。

もちろん、「ゼロリスク思考」で本当にコロナゼロになるのなら、それでも良いだろうという可能性は幾分は残存することは残存します。

しかし、あのオーストラリアですらゼロコロナ路線を継続することに大いなる困難を感じ、断念したと報道されているのですから、兎に角コロナを抑え込めという「ゼロリスク思考」は、土台無理な机上の空論なのです。

豪首相、「感染ゼロ戦略」を断念

ただし、そんな、「ゼロリスク思考」が無理であるなんていうことは、昨年の早い段階でわかりきった事でした。

なぜなら、サーズやマーズやペストのような致死率の高いものなら、感染した人々をスグに「拿捕」し「隔離」できる一方で、このコロナは、無症状感染者も多数存在しており、したがって、全員を「拿捕」することが不可能であり、したがって、「共存」していく他ないウイルスであることは、その性質からして明白だったのです。

当方のコロナに関する言説の一番重要なポイントはここです。

ゼロリスク戦略は、コロナに関しては極めて厳しい、だから、ゼロリスクを目指して徹底自粛をするなぞという方針は、感染抑止について有効でない上に、ただただ悪戯に虐待的に経済と社会を傷付ける他無いのであり、したがって、コロナとの共存を図る他ないのだ、という大前提が当方にはあったのです。

そして、こういうゼロリスク戦略不可能論は、リスク心理学においては、極めて一般的な考え方で、余程の事がない限り、ゼロリスクなどできないと諦める「常識」が、リスク業界においてはあったのです。そして当方は、リスク業界の研究者として20年以上活動してきた学者として、そういう理念を十二分に理解していたのです。

そして、今、世界は、ゼロコロナを諦め、コロナとの共存を図る方向に明確に進み始めているのだと思います。

世界各国の首脳陣は、なんと愚かなことなのだろうと当方は、リスク心理学の専門的研究者として、心底残念に思っています。

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image by: akiyoko / Shutterstock.com

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京都大学大学院・工学研究科・都市社会工学専攻教授、京都大学レジリエンス実践ユニット長。1968年生。京都大学卒業後、スウェーデンイエテボリ大学心理学科客員研究員,東京工業大学教授等を経て現職。2012年から2018年まで内閣官房参与。専門は、国土計画・経済政策等の公共政策論.文部科学大臣表彰、日本学術振興会賞等、受賞多数。著書「プライマリーバランス亡国論」「国土学」「凡庸という悪魔」「大衆社会の処方箋」等多数。テレビ、新聞、雑誌等で言論・執筆活動を展開。MXテレビ「東京ホンマもん教室」、朝日放送「正義のミカタ」、関西テレビ「報道ランナー」、KBS京都「藤井聡のあるがままラジオ」等のレギュラー解説者。2018年より表現者クライテリオン編集長。

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【著者】 藤井聡 【月額】 ¥880/月(税込) 【発行周期】 毎週 土曜日

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