見えた安倍前首相の完全失脚。総裁選「高市支持」の高すぎる代償

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29日の投開票まで残すところあと2週間あまりとなった自民党総裁選ですが、そのさなか、「再々登板」が囁かれる実力者が不覚を取ってしまったようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、高市早苗氏支援を表明した安倍前首相の判断は「奇策」であり、党内の大御所が取るべき策ではないと断言。さらにこの選択が安倍氏自身の神通力を弱め、完全失脚に繋がる可能性も否めないと指摘しています。

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安倍前首相の不覚

9月17日告示で9月29日開票の自民党総裁選挙に、安倍前首相が高市さんを応援したが、麻生さんは河野さんの後見人、甘利さんは岸田さんを応援する。3Aの分裂で安倍さんはどうなる。それを検討しよう。

安倍さんが高市さんを応援したことで、細田派の分裂が決定的になった。細田派の福田さんが派閥の会合で、自主投票を呼びかけて、若手・中堅が賛成したことで、高市さん支持で細田派がまとまらなかった。

高市さんの金融財政政策は、MMTであり、インフレが2%になるまでは財政拡大策を取るという。予算を膨らませれば、景気は良くなるという論であることが見える。アベノミクスそのものであるが、経済成長しなかった事実で、有効性が否定されている。

その上、高市さんは、超タカ派であり、弱者切り捨ての新自由主義的な考え方もあるし、株譲渡益税を増税するなどもあるが、一番問題なのが、MMT信奉者で予算の下方硬直性を見ていないことだ。一度予算を膨らますと予算縮小ができずらいことだ。もう1つが、今、中国と米国がバブル崩壊に向かっているときに、バブルを作る政策は、非常に危ない。

このため、野党系夕刊紙でも河野さんを叩き、高市さんを持ち上げるが、野党としては、選挙時に叩けるので、高市自民党総裁が一番望ましい人であろうが、普通一般の人が支持してはいけない人である。貧乏なネトウヨ達には、一番損になるのに熱狂している。

このため、麻生さんは、高市さんの財政金融政策には賛成できかねるとして、麻生派の河野さんを支援することにした。河野さんの後見人という位置づけだ。麻生派のベテランである甘利さんは、岸田さん支持になっている。ということで、自民党を先導していた3Aが崩壊した。

麻生派も分裂するが、ほとんどの議員は河野支持になり、甘利さんなど数名が麻生派から離脱するだけで済む。

河野さんでも岸田さんでも現実的な政策である。脱原発と言っていた河野さんも現実解の方向でシフトしている。岸田さんは分配政策も言っているので、貧乏人の味方のはず。立憲民主党も岸田さんの政策に近いので、連立できるという。

この岸田さんと河野さんの問題は、産業界の意向を汲んで、中国との関係がソフトなことだ。特に河野さんは、父親の洋平氏の歴史観を変えないという。

これは、米国のバイデン大統領も米中関係を調整しているが、どうであろうか?

そして、細田派は、高市さん支持の議員が30名程度であり、大部分は河野さんと岸田さん支持になる。細田派の福田さんは独立して、福田派として、「党風一新の会」自民党所属1~3期の衆議院議員中心に90名での会派になるようだ。細田派より大きくなる。

国民の人気は、石破さんが出馬しないと、圧倒的に河野さんになる。その上、石破さんが河野さんを支持するという。二階さん、菅さんも河野支持になりそうである。自民党の大勢は河野さんになりそうだ。

こうなると、1回目の投票で河野さんが勝つ可能性が出てきた。自民党の10月衆議院議員選挙では、負けても少し、勝つ可能性も出たことになる。改選議員たちは、河野さんになったら、ほっとすることになる。

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