「人生はやり直しはできない。でも、出直しはいつでもできるんだよ」
北原: 自宅に戻り、普段はあまりあれこれ言わない両親でも今回ばかりはさすがに怒るだろうと思ったんですね。そしたらうちの母が意外なことにニコニコしながら迎えてくれたんですよ。
岡崎: 親に相談なく退学になったんですか?
北原: いや、もちろん親は知っていますよ。学校からすべての荷物を引き上げ戻ってきたときに、うちの母が言ったんです。「お前の人生、これで終わったわけじゃない。これから先のほうがずっと長いんだからね」。その時の母の表情や声は今でもはっきりと覚えています。「人生はやり直しはできない。でも、出直しはいつでもできるんだよ」と言ってくれたんです。過去はなにがあってもかえられないじゃないですか。でも、未来はいつでも変えられる。だから出直しはいつでもできる。
岡崎: 素敵な言葉ですね!
北原: そして3つ目に「お前はたばこを吸わないからいい」というんですよ(笑)。ほめるところはどこもなかったから、僕は。中学生でたばこを吸わないことはあたりまえですが、早いやつは中学生なのに吸っていましたからね。
岡崎: おそらくそういう時代ですよね。
北原: 昔はそんな感じでしたね。その後、僕は地元のもみじが丘中学というところに編入してなんとか中学校は卒業できました。うちの両親はスポーツ店と喫茶店をやっていたから、僕は卒業後にお店を手伝うといったんです。うちの父は明治生まれで、小学校くらいしか出ていないんです。それで「おまえね。高校は行けよ」といわれたんです。
岡崎: お父さんは小学校までしかいっていないけど、北原さんには高校にいけと。
北原: そうなんです。「父さん、ありがたい言葉だけど、僕を入れてくれるような学校はないよ」といったんです。僕はまったく勉強していなかったからね。そしたら父が「捨てる神あれば拾う神あり」と名言を言ってくれて、それで私立の本郷高校になぜか入れたんです。
岡崎: 本郷高校といったら、今は名門ですよね?
北原: 今は名門ですよ!名門中の名門。東大、慶應、早稲田に現役で各学校に数十人も受かるようなところですよ。
泣きじょうごで、ほめ上手、感激屋の恩師との出会い
北原: 当時はレベルが高い学校ではなかったんです。だって僕が入れるくらいだから、名門であるわけがない(笑)。僕が入った時は番長がいたんですよ! 番長といっても、今の人たちは知らないでしょ。フライパンで炒めたような帽子をかぶって、マントみたいなのを着て、下駄をはいてるんですよ。ばんからな高校だったんです。
学年のクラス分けがあったんですが、そこで僕はまた最下位の学生を集めたクラスだったんですよ。当時は何クラスもあって、ほかのクラスは成績順ではなく均等に分けていたんです。でも、僕の入ったクラスは、学年の中でもどうしようもない落ちこぼればかりを集めたクラスだったんです。
ただ、今回は出会った先生が違った。僕の高校時代の恩師に沢辺利夫先生とう方がいます。昔テレビで「スターウォーズ」という学園ドラマがありましたよね。京都一の不良学校でラグビー部を作り、日本一にさせたドラマです。
岡崎: 落ちこぼれのラグビー部員と熱血先生の物語ですよね。
北原: 泣きじょうごで、ほめ上手、感激屋のスクールオーズの滝沢賢治先生。僕の高校時代の恩師、沢辺先生もラガーマンで、まさにドラマの中の滝沢先生みたいなタイプでした。退職後は穏やかになったんですが、当時はとにかく怖かった。ガタイはいいし、耳はつぶれているし、頭には縫った跡があって、見た目からして怖かったんです。でも、あったかい先生なんですよ。
出会ったときに、先生が一言目に言った言葉は「君たち勉強できないんだね。僕もできなかったんだよ」と言ったんです。「でもな、3年間一緒にがんばろうぜ!」といってくれたんですよ。すごく温かい一言でした。
(メルマガ『岡崎かつひろの『好きを仕事にするための本当の考え方』』2021年10月4日号より一部抜粋、この続きと後半の配信はメルマガにご登録の上、お楽しみください。初月無料でお読みいただけます)
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image by: Tinxi / Shutterstock.com