10年で売上10倍の「焼肉きんぐ」、業界に革命を起こした大成功の秘密

 

創業者vs若き社長~激論・改善の店づくり

物語コーポレーションでは会議の前に日課がある。それが「明言のすすめ」。出席者全員で「大きな声で皆に聞こえるように皆に分かりやすく具体的に伝えることです」「『明言』するから議論が生まれるのです」と、唱和する。思ったことははっきり明言する。それは最も重要なルールだ。

この日の会議の議題は「焼肉きんぐ」のある店舗へ客を誘導するための案内看板について。近隣のライバル店に客が流れないよう、交差点にどんな看板を設置するべきか。思わず立ち上がって議論する男たち。野立て看板一つにいきなりヒートアップする。どんな細かいテーマでも議論を尽くし改善を続けるのが物語コーポレーション流なのだ。

「今日の会議は短いほうで良かったです。お昼が食べられる(笑)。とことんやろうと、いつも時間を制限しないでやります」(芝宮良之)

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もっとも細かく改善活動にいそしんでいるのが、2020年9月、若くして社長に就任した加藤央之(35歳)だ。

この日の加藤はある店舗に入るなり、タッチパネルを食い入るように見つめ、写真に注文をつけた。細かい改善こそが生き残るために最も重要だと考えているのだ。

そしてもう一つ重要だと言うのが、加藤の趣味にもなっているさまざまな外食店巡り。この日は定期的にチェックしている「スシロー」で昼食。すると、新たな気づきがあったという。

「セルフレジで自分で会計するシステムなのに、あれだけシニア客がいるのはすごいと思います。『ちょっと面倒くさい』と思っても『それでも食べたい』という、『スシロー』さんを見ているとその重要性が分かります」

勉強熱心な加藤にとって、ライバルともいえる存在が物語コーポレーション創業者の小林佳雄(72歳)だ。

2人は連れ立って店舗の視察へ。運営している東京・港区の焼肉店「肉源」赤坂店はコロナ禍で客が減っているという。「肉源」はワインの品ぞろえを充実させた洋風の焼肉店。どう立て直すべきか、即席で会議が始まった。

ロゴを変えたくない小林と、反論する加藤。結局、創業者が否定した案を加藤が押し通した。それが若くしてトップを任されたゆえんだ。

加藤を社長に選んだ理由を小林に尋ねると、「一番挑んでくるから」と笑った。

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