ウクライナ侵攻は序章。プーチンがこれから世界に仕掛ける覇権戦争

2022.03.17
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国際社会から厳しい批判を受けているロシアによるウクライナ侵攻ですが、プーチン大統領にとっては野望達成の序章に過ぎないという見方もあるようです。これまでも「お先真っ暗な日本の未来。中国とロシアの暴走が壊す北東アジアの平和」等の記事でロシアの戦略を詳細に検討してきた、外務省や国連機関とも繋がりを持ち国際政治を熟知するアッズーリ氏は今回、ロシアがアフリカや中東で展開するプレゼンス強化の動きを紹介。プーチン大統領の覇権的行動は東欧や旧ソ連圏だけにとどまらず、その他の地域でも一層の勢力拡大を狙うと分析しています。

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全世界に拡大するロシアの覇権主義

米国が世界の警察官からの引退を表明して久しい。オバマもトランプも世界観やビジョンは大きく違っても、米国だって1つの国だ、世界のあらゆる問題に介入できないとする現実主義は同じだった。そして、それはバイデンでも同じある。去年初めの政権発足当初、バイデンは国際協調主義と脱トランプを強調したが、1年経ってはっきり見えるのはバイデン流アメリカファーストであり、世界の問題でリーダーシップを発揮しようとする昔の米国ではない。

その姿勢は米国議会でも米国民の間でも浸透している。たとえば、昨年末、米国のシンクタンク「Ronald Reagan Presidential Foundation and Institute」が公表した世論調査によると、「どの国が最も米国にとって脅威か」との質問に対し、回答者の過半数となる52パーセントが中国と回答し、ロシアが14パーセント、北朝鮮が12パーセントと続いた。4年前に実施された同調査で中国を脅威と回答した割合が21パーセントだったことから、3年間で大幅に増加したことになるが、米国の中には限られた米国のパワーを対中国に集中させたい狙いが見て取れる。バイデン政権がロシアに懸念はあるものの、中国を“唯一”の競争相手と位置づけたことがそれを連想させる。

また、ロシアがウクライナへ侵攻する中、最近公表された米調査結果によると、「ロシアによるウクライナ侵攻において米国がどれほど役割を果たすべきか」との問いに対し、「積極的な役割を果たすべき」と回答した人は全体の26%に留まり、「最低限の役割に留めるべき」が52%、「役割を果たすべきではない」が20%と7割以上がそれに消極的な姿勢を示した。オバマやトランプなど直近の歴代政権の方針、そして9.11テロ以降の米国の疲弊を加速化させた対テロ戦争から想像すれば、この調査結果は決して驚くものではない。バイデン政権は今年秋の中間選挙でも苦戦が予想されており、バイデン政権はこういった国民の意見を重視せざるを得ない状況にある。バイデン政権は東欧に米軍部隊を増強する方針を明らかにしているが、それはあくまでも抑止のためでロシア軍と撃ち合う姿勢はそもそもない。

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