お先真っ暗な日本の未来。中国とロシアの暴走が壊す北東アジアの平和

2022.02.22
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領土や人権等の問題をめぐり西側諸国と対立する中国とロシアですが、その「覇権的な動き」は日本に明るくない未来をもたらす公算が大きいようです。先日掲載の「中露海軍が『津軽海峡』航行の衝撃。日本は“鬼門”の防衛力を強化せよ」で二国の脅威を詳細に綴った、外務省や国連機関とも繋がりを持ち国際政治を熟知するアッズーリ氏は今回、中露の動きがこれまで以上にエスカレートする可能性を指摘。さらに彼らにより北東アジアの分断が進みつつある事実を記すとともに、日本が安全保障面で接近を強めるべき国の名を挙げています。

中国・ロシアによって分断が進む北東アジア

今年に入って、中国やロシアの覇権的な動きが先鋭化している。まず、ロシアはウクライナ国境近くに軍を10万以上とも言われる軍を展開し、同国へ侵攻する動きを見せるなど今日緊張が高まっている。米国のブリンケン国務長官は1月5日、ドイツのベーアボック外相と会談してロシアが軍事的圧力を強めるウクライナ情勢について話し合い、ロシアが軍事的侵攻をした場合は大規模な経済制裁に踏み切ると警告した。バイデン大統領も2月が危ないと指摘するなど、2014年のウクライナ危機の再現を危惧する声が高まっている。長年、プーチン大統領は北大西洋条約機構NATOの東方拡大、ウクライナの西洋接近を強く警戒しており、軍事的圧力を強めることでそれらを阻みたい狙いがある。ロシアは2014年2月のソチ五輪後にクリミア半島侵攻に踏み切ったことから、北京五輪後が危ないとする見解も多い。

また、北京五輪を巡る外交的ボイコットもあり、欧米と中国の対立は既に後戻りできないところまで来ている。これまでのところ外交的ボイコットを表明したのは米国に続き、英国とカナダ、オーストラリアとニュージーランド、バルト三国のリトアニアだが、北京五輪の偉大な成功を掲げる習政権が同開催中に大きな動きに出る可能性は低いが、五輪後に外交的ボイコットを実施した米国や英国などに制裁措置で報復を行う可能性は否定できないだろう。中国を巡る欧米の警戒意識が強まっているが、米国と中国の経済力や軍事力は接近する一方で、中国がインド太平洋における米国のパワーは大したことがないと判断する時が来れば、それはかなりの危険信号となろう。今年はロシアと中国の覇権的な動きが一気に進む恐れがある。

一方、ロシアや中国の覇権的な動きによって、北東アジア地域の崩壊が進んでいる。中国は日本を経済力で抜き米国に接近することで自信を深めている。そして、尖閣諸島や南シナ海などで海洋覇権を強め、2020年には国家安全維持法を施行することで香港の一国二制度を破壊し、台湾統一に向けての動きを加速化させるなど、北東アジアは米中対立の最前線となっている。東南アジアはASEAN、欧州はEU、アフリカはAUなど他の地域には各地域の問題を共同で話し合う地域的国際機関が存在する。しかし、そういった地域的な国際機関が全くなくバラバラなのが北東アジアだ。中国は米国の影響力を排除し、北東アジアで主導権を握ろうとし、北朝鮮はミサイル発射を繰り返すなど孤立主義的な行動を取り続け、韓国は米国の同盟国ながら中国との経済関係を重視するなど米中対立の狭間で悩んでいる。日本は日米同盟を基軸に自由で開かれたインド太平洋の実現を進めるスタンスなどで、これら3か国と協力できる環境にない。

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