中ロが加速化させる北朝鮮の一方的な行動
そして、中国がこのまま覇権的な動きを続け、米中対立が長期化すれば北東アジアの分断はいっそう進むことになる。中国が軍事力で北東アジアで米国に対して優位になる日は決して遠くないかも知れない。昨年夏、バイデン政権はアフガニスタンから米軍を完全撤退させたが、在日、在韓米軍が撤退することはないにしても、米国の内向き化が一層進み、米軍が中国軍を徐々に抑止できなくなり、それ相当の役割を日本や韓国にこれまで以上に求めてくる可能性は十分にあり得よう。
また、ロシアの動きも北東アジアを分断させている。ロシアも中国の北極進出には警戒をしているが、米国を戦略的競争相手と位置付けており、仮にウクライナ侵攻でバイデン政権が腰抜け的な行動を見せれば、ロシアの北方領土を含む北太平洋、もっと言えば日本海での軍事活動がさらにエスカレートする恐れがある。最近は、ロシア海軍と中国海軍の船舶が共同で津軽海峡を通過し、太平洋沿いを進み、大隅海峡を通過するなど、明らかに軍事的威嚇がみられる。
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こういった中国やロシアの動きは、北朝鮮の一方的な行動も加速化させる。今年1月だけでも6回もミサイル発射を実施しているが、バイデン政権が中国ロシアに十分な行動を取れないと北朝鮮の行動もさらにエスカレートすることだろう。北東アジアの将来は日本にとって明るくない。もし協力相手を選ぶのであれば韓国となるが、韓国は安全保障で日本と協力することは歴史問題もあり難しい。よって、日本としては北東アジアの外にあるインドやオーストラリア、ニュージーランドなど安全保障的な接近をいっそう強める必要がある。
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