ウクライナ軍は対ロシアに特化。巨人をひと突きで倒す軍事力とは

 

おまけにウクライナ軍は2014年のクリミア併合のあと、米国の軍事顧問団の教育訓練を受けており、強大なロシア軍との戦いに適した兵器を多数備えてきたと思われます。まんべんなく兵器を揃えた形だけの軍隊ではなく、巨人をひと突きで倒せるような軍事力だと言ってよいと思います。

そこから手にした果実は、米国製のスティンガー携行式地対空ミサイルによるKa-52M戦闘ヘリコプターの撃墜、ジャベリン対戦車ミサイルやトルコ製バイラクタルTB2無人機による戦車の撃破となって表れています。欧米の専門家の指導によるサイバー攻撃も、ロシア軍の司令部と前線部隊との指揮命令システムを機能不全に陥らせているようです。

さらに、ウクライナが突出させているスナイパー(狙撃手)の存在があります。指揮官が狙撃されると、その部隊は狙撃を警戒して数日間は動きが止まると言われます。そのウクライナのスナイパーは、ロシア軍のアンドレイ・スホベツキー少将(第7空輸師団長)ともう一人の少将の狙撃にも成功しています。ロシア側の狼狽ぶりが目に見えるようです。

ウクライナ側では、編集者出身の女性スナイパー、オレナ・ビロゼルスカが抵抗のシンボルとなり、アフガニスタンなどで知られたカナダ軍のスナイパー「ウォリ」が志願したという情報もあります。装甲車やヘリに有効な対物狙撃銃はカナダ製が導入されたとも言われます。

このスナイパーやサイバー部隊は、ウクライナの市民が自発的に参加したケースも多く、さらに大きな戦力になっていくと思われます。ただでさえ士気が低下しているロシア軍の身になってみれば、こんなウクライナとは戦いたくないというのが本音でしょう。

あとは、キエフなどを包囲した状態のまま停戦を迎えるか、破壊の限りを尽くしてでも一気に攻略に出るか。後者の展開にならないことを祈らずにはいられません。(小川和久)

image by:Oleh Dubyna/Shutterstock.com

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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